術後急激な汎血球減少を呈した1症例
口腔底腫瘍の術後, 第15病日頃より発熱, 皮疹, 下痢が生じ, 著しい汎血球減少を呈した症例に遭遇した(1996年). 周術期に全血(3u), 濃赤(13U), FFP(6u)を用いたが全て未照射であり, 臨床経過よりPT-GVHDが強く疑われた. しかし薬物アレルギーや重症感染症, DIC及びこれらの複合した病態との鑑別に苦慮した. 1年後, 保存してあったパラフィン固定標本を用いてマイクロサテライトDNA多型によるキメリズムの証明も試みたが困難であった. 現在, 基本的には照射血を供給しておりPT-GVHDは予防されていると考えられるが, 診断上は先ず「PT-GVHDに気づくこと」が大切...
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Published in | 日本輸血学会雑誌 Vol. 45; no. 5; p. 636 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本輸血学会
01.10.1999
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ISSN | 0546-1448 |
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Summary: | 口腔底腫瘍の術後, 第15病日頃より発熱, 皮疹, 下痢が生じ, 著しい汎血球減少を呈した症例に遭遇した(1996年). 周術期に全血(3u), 濃赤(13U), FFP(6u)を用いたが全て未照射であり, 臨床経過よりPT-GVHDが強く疑われた. しかし薬物アレルギーや重症感染症, DIC及びこれらの複合した病態との鑑別に苦慮した. 1年後, 保存してあったパラフィン固定標本を用いてマイクロサテライトDNA多型によるキメリズムの証明も試みたが困難であった. 現在, 基本的には照射血を供給しておりPT-GVHDは予防されていると考えられるが, 診断上は先ず「PT-GVHDに気づくこと」が大切であり, ドナー→ホストのHLA一方向適合の証明がなされれば早期に治療の開始も可能である. 本症例はその重要性を改めて示したものである. |
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ISSN: | 0546-1448 |