高齢者の腰痛-ペインドローイングとMRIによる検討

【目的】高齢者の腰痛の評価は困難であることが多い. ペインドローイングによる腰痛記載とMRI画像所見を比較検討し, 検討したので報告する. 【対象および方法】腰痛を訴える70歳以上の患者50例を対象とした. 年齢は70~85歳までで平均78歳であった. 各患者には診察に際してペインドローイングを記載するように依頼した. また, すべての症例にMRI撮像を行った. ペインドローイングの記載パターンを次の4型に分類した. (1)腰痛のみ, (2)腰痛と下肢痛, (3)下肢痛, (4)腰痛と体の各所に痛みを記載. MRI所見は次の5型に分類した. (1)単レベル狭窄, (2)多レベル脊柱管狭窄, (...

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Published in日本腰痛学会雑誌 Vol. 10; no. 1; pp. 171 - 172
Main Authors 田窪冬彦, 立花謙次, 荻久保修, 二村彰人, 宮下徳雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腰痛学会 30.10.2004
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ISSN1345-9074

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Summary:【目的】高齢者の腰痛の評価は困難であることが多い. ペインドローイングによる腰痛記載とMRI画像所見を比較検討し, 検討したので報告する. 【対象および方法】腰痛を訴える70歳以上の患者50例を対象とした. 年齢は70~85歳までで平均78歳であった. 各患者には診察に際してペインドローイングを記載するように依頼した. また, すべての症例にMRI撮像を行った. ペインドローイングの記載パターンを次の4型に分類した. (1)腰痛のみ, (2)腰痛と下肢痛, (3)下肢痛, (4)腰痛と体の各所に痛みを記載. MRI所見は次の5型に分類した. (1)単レベル狭窄, (2)多レベル脊柱管狭窄, (3)単椎体圧迫骨折, (4)多椎体圧迫骨折, (5)狭窄も骨折もないもの. 【結果】1)22名(44%)の患者は両側の腰痛を記載し, すべてMRIで多椎体圧迫骨折を認めた. 2)14名(28%)は片側または両側下肢痛を記載し, MRIでは多レベルまたは単レベルの脊柱管狭窄を示した. 腰痛を記載した例もあった. 3)13名(26%)の患者は単椎体の骨折を認め腰痛と片側または両側下肢痛を記載した. 4)身体各所に痛みを記載した一例は狭窄も骨折も認めなかった. 5)疾患別にペインドローイングスコアを見ると0~2点が大部分で平均0.88点であった. 【考察】Mooneyはペインドローイングシステムは精神的あるいは情緒的問題のある腰痛の鑑別に有用であると報告している. 本研究においては70歳以上の高齢者のペインドローイングはMRI所見とよく合致していたので, 今後高齢者の病状把握の一方法として有用なものと思われる.
ISSN:1345-9074