Class III不正咬合者の咀嚼運動‐正常咬合者と不正咬合者の咀嚼運動の比較

骨格性下顎前突者の咀嚼運動の研究は少なく, その特徴は明らかではない. 本研究では骨格性下顎前突者の咀嚼時の顎運動と咀嚼筋活動を調査した. 被験者は正常咬合を有する20名のNormal群と骨格性下顎前突で第一大臼歯の咬合関係がClass IIIかつcross biteを伴う20名のClass III群とした. 咀嚼時の切歯点経路と咬筋, 側頭筋前部における筋電図を同時記録し, 開口位, 咀嚼終末位の座標値と筋電図波形タイミングについて2群の比較を行った. 結果, Class III群はNormal群よりも開口位が後方, 作業側に存在しており, 咀嚼終末位は平衡側に存在していた. また, Cla...

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Published in九州歯科学会雑誌 Vol. 58; no. 1; p. 27
Main Author 田村仁美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 九州歯科学会 25.02.2004
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ISSN0368-6833

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Summary:骨格性下顎前突者の咀嚼運動の研究は少なく, その特徴は明らかではない. 本研究では骨格性下顎前突者の咀嚼時の顎運動と咀嚼筋活動を調査した. 被験者は正常咬合を有する20名のNormal群と骨格性下顎前突で第一大臼歯の咬合関係がClass IIIかつcross biteを伴う20名のClass III群とした. 咀嚼時の切歯点経路と咬筋, 側頭筋前部における筋電図を同時記録し, 開口位, 咀嚼終末位の座標値と筋電図波形タイミングについて2群の比較を行った. 結果, Class III群はNormal群よりも開口位が後方, 作業側に存在しており, 咀嚼終末位は平衡側に存在していた. また, Class III群はNormal群よりも咀嚼周期に対する閉口相時間の割合が大きく, 筋活動収束時間, 活動時間の延長が認められた. 以上より, 骨格性下顎前突者の咀嚼運動の特徴が明らかとなり, 治療後の咀嚼機能の評価の一助となると考えられる.
ISSN:0368-6833