鍼灸と心の癒し

21世紀を目前にして, 医療界において「心と体は切り離せない」と言う考えから, 今まで以上に「心の癒し」を唱えるようになりました. 我々, 日本人の食生活, 習慣も一昔前と比べると大きく変わり, また, それに伴い体に現れる症状も変化しています. ストレスと言うことばが一般化し, 大人はもとより子供にもストレス性の症状が多く見られるようになりました. このような変化する現実の中で, 我々鍼灸師も「心の癒し」抜きで, 従来の痛みを取る治療だけで, 十分な対応ができるでしょうか. これからの鍼灸は, もっと「心」に踏み込み, 言葉による「癒し」が必要になると思います. 【症例】M.M65歳女性 既...

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Published in日本鍼灸良導絡医学会誌 Vol. 27; no. 4; p. 27
Main Author 山田隆文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本良導絡神経学会 01.09.1999
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ISSN0286-1631

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Summary:21世紀を目前にして, 医療界において「心と体は切り離せない」と言う考えから, 今まで以上に「心の癒し」を唱えるようになりました. 我々, 日本人の食生活, 習慣も一昔前と比べると大きく変わり, また, それに伴い体に現れる症状も変化しています. ストレスと言うことばが一般化し, 大人はもとより子供にもストレス性の症状が多く見られるようになりました. このような変化する現実の中で, 我々鍼灸師も「心の癒し」抜きで, 従来の痛みを取る治療だけで, 十分な対応ができるでしょうか. これからの鍼灸は, もっと「心」に踏み込み, 言葉による「癒し」が必要になると思います. 【症例】M.M65歳女性 既往歴:平成8年6月H大学病院で脊椎分離, すべり症を手術. 腰痛は軽減したが左右下肢の痺れが残る. 初診日:平成8年10月15日来院, 現在まで鍼灸継続, 痺れは年単位で軽減している. 現病症:平成11年6月7日, 3日前から頭痛, 不眠を訴える. 後頚部, 背部の凝り著明. 経過:3回目(5日後), 頭痛は少し軽くなったが相変わらず眠れない. よくよく聴くと, この症状が現れる前の日に, 近所の内科で「下肢の痺れが未だにとれない」と訴えると腰のレントゲンを撮り, 「この手術, 失敗だな, L4, L5が狭くなったままだから下肢が痺れる」と言われ, その夜からショックで眠れなくなったらしい. 「しかし, レントゲンでそのように見えても, 現にあなたの腰痛は以前より軽減しているし, 下肢の痺れも年単位で比較すれば軽くなっているので決して失敗でない」と説得した. 次の日, 「不安がとれ昨夜はよく眠れた. そのため今朝は, 頭もスッキリしていると電話があった. 考察:今回の症例はドクターの一言により引き起こされた医原病だと思われる. 【さいごに】 鍼灸師に, 必要なカウンセリングを学ぶ会(鍼灸カウンセリング協会)が, 今春, 名古屋に発足されました. 鍼灸カウンセリング協会事務局 〒458-0002名古屋市緑区桃山4-121TEL(052)877-5791
ISSN:0286-1631