PCR-RFLP法によるABO式血液型の遺伝子診断

【目的】前回我々は, O遺伝子における1塩基欠失部位(塩基258番目)と, A, B遺伝子におけるアミノ酸の第一置換点(塩基523番目に相当)をPCR-RFLP法を用いて解析することにより, 血液型の遺伝子診断が可能であることを報告した(第40回日輸総会). そこで今回我々は, さらにA, B遺伝子におけるアミノ酸の第二, 第三置換点(塩基700, 793番目に相当)の解析も加えて, 血液型の遺伝子診断について検討したので報告する. 【対象と方法】対象は健康正常人A型30名, B型23名, O型30名, AB型17名の計100名とした. 方法は末梢白血球よりフェノール法を用いてDMを抽出した....

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 39; no. 2; p. 411
Main Authors 岩崎誠, 小林賢, 関口進, 阿藤みや子, 鈴木洋司, 太田正穂
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.05.1993
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ISSN0546-1448

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Summary:【目的】前回我々は, O遺伝子における1塩基欠失部位(塩基258番目)と, A, B遺伝子におけるアミノ酸の第一置換点(塩基523番目に相当)をPCR-RFLP法を用いて解析することにより, 血液型の遺伝子診断が可能であることを報告した(第40回日輸総会). そこで今回我々は, さらにA, B遺伝子におけるアミノ酸の第二, 第三置換点(塩基700, 793番目に相当)の解析も加えて, 血液型の遺伝子診断について検討したので報告する. 【対象と方法】対象は健康正常人A型30名, B型23名, O型30名, AB型17名の計100名とした. 方法は末梢白血球よりフェノール法を用いてDMを抽出した. 独自に作成したprimers ABO-56とABO-36(1塩基欠失部位をはさむ), ABO-52NとABO-32N(アミノ酸の第一置換点をはさむ), ABO-57とABO-38(同じく第二, 第三置換点をはさむ)の計3組を用い, PCR法により増幅した. 増幅したDNAに各種制限酵素を加え一晩反応させた. 切断されたDNAをagarose gel上で電気泳動し, 臭化エチジウムにて染色した後バンドパターンを観察した. 【結果】ABO-56とABO-36により得られたDNAをBst E IIまたはKpn Iで切断するとA, B遺伝子がO遺伝子と全例区別できた. ABO-52NとABO-32Nにより増幅したDNAは, Ban IまたはBss H IIで, ABO-57とABO-38の場合(第二置換点)は, Msp IまたはAlu Iで切断した結果, 100例中97例はA, O遺伝子がB遺伝子と区別することができた. しかし残りの3例(A型2例, AB型1例)はアミノ酸の第一, 第二置換点において, A allelesがB allelesのパターンを示した. ABO-57とAFO-38で増幅したDNA(第三置換点)をMva Iで切断すると, 全例A, O遺伝子とB遺伝子を区別できた. 【結論】より正確な血液型の遺伝子診断を実施するためには, 1塩基欠失部位とアミノ酸の第一置換点に加えて, 第二, 第三置換点も確認する必要があると思われる.
ISSN:0546-1448