舌喉頭矯正術による乳児の核心・表面体温変化の解析

「緒言」 ヒトの体温は熱放散と熱産生のバランスによって36~37℃の範囲で保たれている. 子どもは身体活動や成長・発育のために大人に比べ活発な代謝活動のため, 基礎代謝量は高く, 体温も0.2~0.5℃ほど高い. しかし近年, 学校保健領域において小児の体温の標準値(平均値)が低下傾向にあることが問題となり, 体温が36.0℃未満の子供を「低体温児」と定義し定着されつつある1,2). 舌喉頭偏位症(ADEL)とは, 舌小帯の有無にかかわらず舌および喉頭の前上方への偏位により上気道の抵抗が増し呼吸が抑制される状態をいう. 舌喉頭矯正術(CGL)は, 舌小帯およびオトガイ舌筋の前束の一部を切断し舌...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in神奈川歯学 Vol. 44; no. 1; pp. 36 - 47
Main Authors 北川有華, 山本伊佐夫, 中川貴美子, 大平寛, 向井將
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 神奈川歯科大学学会 30.06.2009
Online AccessGet full text
ISSN0454-8302

Cover

More Information
Summary:「緒言」 ヒトの体温は熱放散と熱産生のバランスによって36~37℃の範囲で保たれている. 子どもは身体活動や成長・発育のために大人に比べ活発な代謝活動のため, 基礎代謝量は高く, 体温も0.2~0.5℃ほど高い. しかし近年, 学校保健領域において小児の体温の標準値(平均値)が低下傾向にあることが問題となり, 体温が36.0℃未満の子供を「低体温児」と定義し定着されつつある1,2). 舌喉頭偏位症(ADEL)とは, 舌小帯の有無にかかわらず舌および喉頭の前上方への偏位により上気道の抵抗が増し呼吸が抑制される状態をいう. 舌喉頭矯正術(CGL)は, 舌小帯およびオトガイ舌筋の前束の一部を切断し舌・喉頭蓋ならびに喉頭が後下方へ移動し, 喉頭蓋ならびに喉頭の偏位を矯正する. このため, 口腔ならびに下咽頭腔は拡張し気管喉頭の開口方向は鼻腔と一直線となり上気道の抵抗を減少させることができ, 乳児では, チアノーゼ, 睡眠時無呼吸, 哺乳障害, 身体が硬い, 手足が冷たいなどの多様な症状が術直後から劇的に解消される3~5).
ISSN:0454-8302