ラットにおける宝塚天然水中のフッ素吸収と共存物質の影響

う蝕予防に対するフッ素(以下“F”とする)の効果とそのメカニズムについてはすでに確立されており, 世界中の国や地域において多彩な手段で利用されている. とくに, 公衆衛生的に最も優れた方策として提唱されている上水道のフッ素化と, 家庭で手軽に利用できるフッ化物配合歯磨剤はその例である. 歯科医学におけるフッ化物応用の歴史的背景をみると, 1900年代初頭にMcKay FSが斑状歯に注目したことが起点となっていることはフッ化物応用の歴史的経緯のとおりである1). その後の疫学調査により斑状歯の原因が水道水に高濃度に含まれるFであり, その反面, う蝕が著明に抑制されるという事実が判明したのである...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in神奈川歯学 Vol. 35; no. 1; pp. 13 - 26
Main Authors 戸田真司, 荒川浩久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 神奈川歯科大学学会 30.03.2000
Online AccessGet full text
ISSN0454-8302

Cover

More Information
Summary:う蝕予防に対するフッ素(以下“F”とする)の効果とそのメカニズムについてはすでに確立されており, 世界中の国や地域において多彩な手段で利用されている. とくに, 公衆衛生的に最も優れた方策として提唱されている上水道のフッ素化と, 家庭で手軽に利用できるフッ化物配合歯磨剤はその例である. 歯科医学におけるフッ化物応用の歴史的背景をみると, 1900年代初頭にMcKay FSが斑状歯に注目したことが起点となっていることはフッ化物応用の歴史的経緯のとおりである1). その後の疫学調査により斑状歯の原因が水道水に高濃度に含まれるFであり, その反面, う蝕が著明に抑制されるという事実が判明したのである. これを契機として, Fが原因で生じる歯のフッ素症について多くの研究がなされてきた. その結果, 歯のフッ素症は過剰なF摂取による石灰化組織に対する副作用の初期症状であるため2), 保健対策においては外観上問題となる歯のフッ素症を生じることなく最大のう蝕予防効果をもたらす適用量を決定することが重要である, との認識がなされている.
ISSN:0454-8302