口蓋部Malignant Melanomaの画像検査所見

今回我々は, 口蓋部に発現したMalignant Melanomaを経験し, MRIを主とした画像検査についての報告をおこなった. 患者は75歳男性, 主訴は義歯使用時の左側口蓋部の疼痛. 現病歴は, 6ヵ月前より左側口蓋部に腫瘤, 疼痛が生じ精査, 加療を希望しての来院であった. 口腔内所見は, 左側口蓋部に50×30mm程度の有茎性の腫瘤がみられ, 表面には潰瘍形成, 腫瘤辺縁には色素沈着が認められた. また, 左右下顎角下方にリンパを触知した. CT像では左側上顎歯槽部から口蓋にかけての著明な骨破壊像が認められ, 顎下部では, 左右頸部リンパの腫大および, CECTにてリングエンハンスを...

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Published in歯科放射線 Vol. 39; no. 1; p. 67
Main Authors 繁原宏, 若狭亨, 久富美紀, 春木隆伸, 岸幹二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本歯科放射線学会 31.03.1999
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ISSN0389-9705

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Summary:今回我々は, 口蓋部に発現したMalignant Melanomaを経験し, MRIを主とした画像検査についての報告をおこなった. 患者は75歳男性, 主訴は義歯使用時の左側口蓋部の疼痛. 現病歴は, 6ヵ月前より左側口蓋部に腫瘤, 疼痛が生じ精査, 加療を希望しての来院であった. 口腔内所見は, 左側口蓋部に50×30mm程度の有茎性の腫瘤がみられ, 表面には潰瘍形成, 腫瘤辺縁には色素沈着が認められた. また, 左右下顎角下方にリンパを触知した. CT像では左側上顎歯槽部から口蓋にかけての著明な骨破壊像が認められ, 顎下部では, 左右頸部リンパの腫大および, CECTにてリングエンハンスを認めた. MRIでは, T1にて中等度, T2にて中等度と高信号の混在, Gd-T1で中等度と高信号の混在像であった. CTでみられたリンパは, T1にて中等度, T2にて中~高信号, ガドリニウムにてやや高信号で, 原発巣とほぼ同様な像を示していたが, CECTと比較すると辺縁が不明瞭であった. しかしDynamic MRIでは, CECTと同様にリング状の辺縁明瞭な画像として描出された. Ga, Tcのシンチグラフィでは, 口蓋部, 頸部以外の集積像は認められなかった. 摘出物病理像では, 腫瘍は隆起性に腫瘍細胞が増殖しており, 深部にも腫瘍の浸潤と脈管浸襲に伴う血管腔が見られた. 拡大像ではメラニン産制細胞とメラニンが認められたが, その割合は少なく, 10%以下であった. DSAでは腫瘍内での著明な血管増殖と血管外への造影剤の漏出が認められた. T1ではメラニン含有量が少ないために信号強度は筋と同等となり, T2, 造影T1, Dynamic MRIでは, 腫瘍内での血管増殖と血管外への血液成分の漏出による信号強度の増加があったものと考えられた.
ISSN:0389-9705