FMS型セメントレスTHA後の早期リハビリテーションと筋力・歩行能力の回復について

「目的」最近, 当科ではクリティカルパスを用いてセメントレス人工股関節置換術後の早期荷重(術後約1週), 早期退院(術後約4週)を行っているが, この後療法プログラムによって筋力・歩行能力がどのように回復するかについて歩行解析, 筋力測定を用いて経時的, 定量的に検討したので報告する. 「対象および方法」対象は全例女性の22例25股, 当科で開発したFMS型人工関節使用症例19股, カスタムメイド人工関節使用症例6股である. 術後杖なし歩行が可能となった退院時, 術後3カ月時, 6カ月時の経時的な歩行解析, 筋力測定を施行した. また対照群として同世代健常女性12症例およびクリティカルパス導入...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 37; no. 11; pp. 823 - 824
Main Authors 橋本直樹, 大森弘則, 奥村康弘, 安藤正郎, 大木央, 馬場久敏, 和田真
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.11.2000
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ISSN0034-351X

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Summary:「目的」最近, 当科ではクリティカルパスを用いてセメントレス人工股関節置換術後の早期荷重(術後約1週), 早期退院(術後約4週)を行っているが, この後療法プログラムによって筋力・歩行能力がどのように回復するかについて歩行解析, 筋力測定を用いて経時的, 定量的に検討したので報告する. 「対象および方法」対象は全例女性の22例25股, 当科で開発したFMS型人工関節使用症例19股, カスタムメイド人工関節使用症例6股である. 術後杖なし歩行が可能となった退院時, 術後3カ月時, 6カ月時の経時的な歩行解析, 筋力測定を施行した. また対照群として同世代健常女性12症例およびクリティカルパス導入以前の同型人工股関節使用症例20例22股を用いた. 評価方法は日本整形外科学会股関節点数, 歩行時股関節モーメント, 求心性最大外転モーメント, 術後入院期間について対照群との有意差検定を行った. 「結果および考察」術後入院期間はクリティカルパス導入後, 有意に短縮しており(平均4.5週, 骨移植症例平均6週), 早期荷重による臥床期間の短縮が筋力低下を抑制し, 早期の歩行能力回復に寄与しているものと思われた. 歩行時股関節モーメントについては術後6カ月の時点で健常群との有意差がすべて消失しており, 股関節最大外転モーメントがほぼ体重の等倍に回復する術後3カ月の時点で, 杖からの積極的離脱が推奨できると思われた. 歩行能力の臨床評価, 定量的評価の点から現在の早期荷重を早期リハビリテーションを含めたクリティカルパスは合目的的であると考えられる.
ISSN:0034-351X