わが国から海外へ発信する疾患概念-たこつぼ型心筋症

たこつぼ型心筋症は, 広島市民病院の佐藤らにより提唱された疾患概念であり, その名称は左室心尖部を中心とする広範囲な無収縮とそれを代償する心基部の過収縮により左室造影収縮末期像があたかも“たこつぼ”に似ていたことに由来している. “たこつぼ”とはまさに言い得て妙の名称であり, 1990年代後半より学会, 雑誌でたびたび報告されるようになり, 佐藤ら1)の報告から14年が経過した現在, わが国では心疾患のひとつとして市民権を得たようである. たこつぼ型心筋症は, しばしば精神的あるいは身体的ストレスを契機として発症し, 急性期には上述した奇異な心収縮異常を呈するにもかかわらずその原因として妥当な...

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Published in心臓 Vol. 36; no. 12; pp. 837 - 839
Main Author 栗栖智
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 丸善 15.12.2004
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ISSN0586-4488

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Summary:たこつぼ型心筋症は, 広島市民病院の佐藤らにより提唱された疾患概念であり, その名称は左室心尖部を中心とする広範囲な無収縮とそれを代償する心基部の過収縮により左室造影収縮末期像があたかも“たこつぼ”に似ていたことに由来している. “たこつぼ”とはまさに言い得て妙の名称であり, 1990年代後半より学会, 雑誌でたびたび報告されるようになり, 佐藤ら1)の報告から14年が経過した現在, わが国では心疾患のひとつとして市民権を得たようである. たこつぼ型心筋症は, しばしば精神的あるいは身体的ストレスを契機として発症し, 急性期には上述した奇異な心収縮異常を呈するにもかかわらずその原因として妥当な冠動脈病変を認めず, さらにこの心収縮異常は数日で回復しはじめ数週間後には正常化することが特徴である.
ISSN:0586-4488