冷え症に対する鍼灸治療の臨床的研究 (第2報)

われわれは, 何んらかの基礎疾患をもつ冷え症患者23例を, 片麻痺患者13例と脳卒中以外の患者10例に大別し, 鍼灸治療効果を比較検討した。 その結果, 基礎疾患をもつ冷え症に対する鍼灸治療の冷え改善率は60.9%であった。これを基礎疾患別に検討すると, 片麻痺患者は53.8%, 脳卒中以外の患者は70.0%であり, 前者は後者に比しかなり改善率が低かった。片麻痺患者の改善率が, 平均改善率をはるかに下回る成績であったことは, 脳の器質的障害に伴う運動神経系の麻痺のほかに中枢性の自律神経系の機能障害による局所の循環不全という因子が加わっているためと推測され, 鍼灸治療の効果発現の機序には中枢性...

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Published in全日本鍼灸学会雑誌 Vol. 40; no. 2; pp. 198 - 205
Main Authors 根本, 宏三, 丹沢, 章八
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 全日本鍼灸学会 01.06.1990
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ISSN0285-9955
1882-661X
DOI10.3777/jjsam.40.198

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Summary:われわれは, 何んらかの基礎疾患をもつ冷え症患者23例を, 片麻痺患者13例と脳卒中以外の患者10例に大別し, 鍼灸治療効果を比較検討した。 その結果, 基礎疾患をもつ冷え症に対する鍼灸治療の冷え改善率は60.9%であった。これを基礎疾患別に検討すると, 片麻痺患者は53.8%, 脳卒中以外の患者は70.0%であり, 前者は後者に比しかなり改善率が低かった。片麻痺患者の改善率が, 平均改善率をはるかに下回る成績であったことは, 脳の器質的障害に伴う運動神経系の麻痺のほかに中枢性の自律神経系の機能障害による局所の循環不全という因子が加わっているためと推測され, 鍼灸治療の効果発現の機序には中枢性因子の介在が想定できる。
ISSN:0285-9955
1882-661X
DOI:10.3777/jjsam.40.198