エリスロポエチン (rHuEPO) 補充療法と頻回血液透析により妊娠, 分娩に成功した長期透析患者の1例

今回, 当院腎センターにおいて長期透析患者しかも高齢初産婦の妊娠, 分娩を経験したので報告する. 症例は透析歴13年, 41歳, 月経周期は不規則であつたが, エリスロポエチン製剤投与開始され, 貧血が改善されるに伴い正常化し, 平成3年7月25月を最終月経として妊娠した. 妊娠10週にて, 人工流産を勧められたが, 本人が妊娠継続, 分娩を強く希望したため, 妊娠20週より産科に入院とし, 週3回各5時間の透析を施行した. BUN 60mg/dl以下, Cre 6.0mg/dl以下に維持するため, 妊娠24週からは週6回各4時間の透析を施行した. Htは25%以上に保ち, 透析施行中は収縮期...

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Published in日本透析療法学会雑誌 Vol. 26; no. 8; pp. 1461 - 1466
Main Authors 板垣, 信生, 松岡, 研, 梁間, 真, 山手, 貴詔, 岸本, 武利, 中西, 淳, 川村, 正喜, 児玉, 光正, 安達, 高久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本透析医学会 28.08.1993
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ISSN0911-5889
1884-6211
DOI10.4009/jsdt1985.26.1461

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Summary:今回, 当院腎センターにおいて長期透析患者しかも高齢初産婦の妊娠, 分娩を経験したので報告する. 症例は透析歴13年, 41歳, 月経周期は不規則であつたが, エリスロポエチン製剤投与開始され, 貧血が改善されるに伴い正常化し, 平成3年7月25月を最終月経として妊娠した. 妊娠10週にて, 人工流産を勧められたが, 本人が妊娠継続, 分娩を強く希望したため, 妊娠20週より産科に入院とし, 週3回各5時間の透析を施行した. BUN 60mg/dl以下, Cre 6.0mg/dl以下に維持するため, 妊娠24週からは週6回各4時間の透析を施行した. Htは25%以上に保ち, 透析施行中は収縮期血圧90mmHg以下に低下させないことを目標とした. 妊娠20-25週にかけて羊水過多が認められたが, 妊娠27週頃より次第に改善した. 胎児のBPD, FL, HL, FTA, EFBWは正常範囲に推移し, 超音波上, 明らかな奇形は認められなかつた. 妊娠32週2日, 全身麻酔下に帝王切開し, 体重1,462gの男児を娩出した. Apgar scoreは8点であった. 分娩後, 母児とも順調な経過をたどり, 新生児は生後75日, 体重3,332gで退院した. 透析患者の妊娠では流早産が高頻度で起こるが, 流早産の原因である子宮内感染症, 羊水過多に注意を払い, 在胎週数がのばせれば, 生児を得ることも可能であると思われた.
ISSN:0911-5889
1884-6211
DOI:10.4009/jsdt1985.26.1461