バルビツレート療法の好中球貪食殺菌能への影響

人好中球貪食殺菌能の良い指標である活性酸素, 特にスーパーオキシド生成をバルビツレートが抑制することがin vitroで知られている. 今回われわれは当院救急部集中治療部においてバルビツレート療法を行った3症例のバルビツレート血中濃度と好中球貪食殺菌能の変化を検討した. <方法および結果>好中球貪食殺菌能:Nitroblue tetrazolium還元反応を用いてGifford法により鏡検し陽性細胞数/100個の貪食細胞×100%を貪食殺菌率として示した. プール人血清にて刺戟した場合をE(-)とし, エンドトキシン50μgを添加して刺数した場合をE(-)とした. バルビツレート血...

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Published in蘇生 Vol. 5; p. 137
Main Authors 弓削孟文, 山野上敬夫, 児玉和紀, 岡林清司, 突合皐, 福地坦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本蘇生学会 01.04.1987
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ISSN0288-4348

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Summary:人好中球貪食殺菌能の良い指標である活性酸素, 特にスーパーオキシド生成をバルビツレートが抑制することがin vitroで知られている. 今回われわれは当院救急部集中治療部においてバルビツレート療法を行った3症例のバルビツレート血中濃度と好中球貪食殺菌能の変化を検討した. <方法および結果>好中球貪食殺菌能:Nitroblue tetrazolium還元反応を用いてGifford法により鏡検し陽性細胞数/100個の貪食細胞×100%を貪食殺菌率として示した. プール人血清にて刺戟した場合をE(-)とし, エンドトキシン50μgを添加して刺数した場合をE(-)とした. バルビツレート血中濃度測定:HLC(高速液体クロマトグラフィー)にてカラムZorbox ODSを用いて定性定量分析を行った. 成人2例にセコバルビツレートにて2mg/kg/hr., 小児1例に3mg/kg/hr, おのおの48時間, 72時間のバルビツレート療法を行った. 3症例においてバルビツレート療法開始後4~8時間で平均血中濃度9.7±3.9μg/mlの際の貪食殺菌率はE(+)で94.7±6.6%, E(-)で71.3±22.0%であったが, 48時間ではおのおの28.6±3.3μg/ml, E(+)で70.0±6.1%, E(-)で35.3±4.9%と低下していた. さらに投与中止後24時間で平均血中濃度は6.8±4.4μg/mlと低下しているにもかかわらず貪食殺菌率は依然としてE(+)で57.0±7.0%, E(-)で27.0±7.0%と抑制されており投与中止後3日目に3例とも正常に回復した. <結語>バルビツレート療法中の好中球貪食殺菌能は抑制されており, さらにその抑制は血中濃度が低下しても持続していることから易感染性を示す期間は長いと考えられ, この時期の患者管理においては清潔操作, 感染予防策を慎重に行う必要があると考えられた.
ISSN:0288-4348