輸血用血液の安全性・品質確保に向けて

目的:輸血の安全性は, 医療現場における適正な医療行為と, 血液センターの薬事法に基づいた品質保証により確立される. 平成6年, 薬事法の改正に伴い, GMPは“遵守すること”から“許可要件化”へと変更され, その製造業者である血液センターの業務は, より厳しい状況となった. そのため品質の確保を目的とした業務を行なうことが, 輸血用血液の安全性を保証する, より重要な鍵となってきている. そこで当センターにおける品質を確保するための取組みと課題について報告する. 方法:血液センターでは, 安全性と品質を確保するために 1. 基準書等の改定 2. 標準作業手順書(SOP)の作成 3. 記録類の...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 47; no. 1; pp. 37 - 38
Main Authors 入田美子, 古賀智英, 宮本彰, 佐藤博行, 前田義章
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.02.2001
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ISSN0546-1448

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Summary:目的:輸血の安全性は, 医療現場における適正な医療行為と, 血液センターの薬事法に基づいた品質保証により確立される. 平成6年, 薬事法の改正に伴い, GMPは“遵守すること”から“許可要件化”へと変更され, その製造業者である血液センターの業務は, より厳しい状況となった. そのため品質の確保を目的とした業務を行なうことが, 輸血用血液の安全性を保証する, より重要な鍵となってきている. そこで当センターにおける品質を確保するための取組みと課題について報告する. 方法:血液センターでは, 安全性と品質を確保するために 1. 基準書等の改定 2. 標準作業手順書(SOP)の作成 3. 記録類の整備 4. 血液安全委員会の設置 5. 自己点検 6. 教育訓練などソフト面の充実と, 構造設備の見直しなどハード面の整備をおこなってきた. 更に, 日本赤十字社血液事業部においても輸血用血液の安全性の確保, 品質の均一化及び向上を目指して, 個々の血液センターが, いかに業務を行なっているか, 将来どのように業務を行なえばよいか, その方向性を知る一端として平成11年から内部査察が開始された. 結果及び考察:ソフト及びハードの見直しや整備を行なう事によって職員の安全性や品質確保への意識が向上し, 過誤に対する取組みが日常化し, 報告当初より約30%にまで減少傾向を認めている. しかし, いくつかの課題も残されており, 1. ニアミスに対する報告義務をいかに行なうか 2. SOPに従った訓練の充実 3. 安全性や品質確保への対応は無限大という職員への意識付けなどがある. まとめ:当センターでは, GMPに対応した取組みを行ない, 安全で品質が確保された輸血用血液を医療機関へ提供できるように努力してきた. 今後, 血液センターのこれらの取組みについて医療機関から意見や疑問点を収集し, より良い輸血用血液の供給に努力したい.
ISSN:0546-1448