光造形法モデルを用いた術前の手術シュミレーション‐Hemifacial microsomiaの術前術後

当科では, 顎変形症に対して外科的矯正治療を行う場合, 咬合関係を中心とした機能的改善(Desirable Occulusion《D.O.》の確立と維持)と顔貌の改善のいずれも考慮しなければならないと考えている. D.O.を設定する際, 顎顔面に対する咬合関係を正確に位置づけるために全ての外科的矯正治療症例の歯列模型を半調節性咬合器にダブルスプリットキャスト法で装着し, 顎骨の移動方向, および移動量を3次元的に正確に計測できるモデルサージェリーを行っている. 基本的な下顎枝矢状分割術で対応できる下顎前突症の多くは頭部X線規格写真を用いたペーパーサージェリーと歯列模型のモデルサージェリーで対応...

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Published in日本顎変形症学会雑誌 Vol. 8; no. 2; p. 134
Main Authors 今井信, 上田康夫, 河田知久, 関口唯, 奥田耕一, 高道理, 大畑昇
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本顎変形症学会 15.08.1998
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ISSN0916-7048

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Summary:当科では, 顎変形症に対して外科的矯正治療を行う場合, 咬合関係を中心とした機能的改善(Desirable Occulusion《D.O.》の確立と維持)と顔貌の改善のいずれも考慮しなければならないと考えている. D.O.を設定する際, 顎顔面に対する咬合関係を正確に位置づけるために全ての外科的矯正治療症例の歯列模型を半調節性咬合器にダブルスプリットキャスト法で装着し, 顎骨の移動方向, および移動量を3次元的に正確に計測できるモデルサージェリーを行っている. 基本的な下顎枝矢状分割術で対応できる下顎前突症の多くは頭部X線規格写真を用いたペーパーサージェリーと歯列模型のモデルサージェリーで対応が可能である. しかし, 下顎垂直骨切り術や上顎骨Le Fort I型骨切り術が必要となる著しい顔面非対称症例や開咬などの難症例においては, 顔貌の改善を考慮するため, 3次元表示CT画像の情報が必要である. そこで, 頭蓋顎顔面骨の実体モデルを製作し, 歯列模型を組み合わせてモデルサージェリーを行えば, 骨切りシュミレーションも可能となり, 機能的改善と顔貌の改善の両方を考慮した外科的矯正治療を正確に行うことができる. 今回, われわれはHemifacial microsomiaで顔面非対称を主徴候とする難症例に対して, 上下顎同時骨切り術を行う際, 術前に光造形法により頭蓋骨実体モデルを製作し, 上下顎の骨切りシュミレーションを行い, 術後に良好な結果が得られたので報告する.
ISSN:0916-7048