下顎枝矢状分割法による下顎前方移動術症例の術後変化
下顎枝矢状分割法により下顎骨の前方移動を行った場合, 舌骨上筋群, 下顎骨周囲の軟組織, 皮膚などの伸展により後戻り傾向が現れやすいとされている. 今回われわれは, 下顎のみの顎矯正手術によって咬合および審美性の改善をはかった3症例について, 術後の変化を計測したので報告する. 症例は手術時年齢が16歳, 20歳, 24歳の3例で, 3例中2例にオトガイ形成術を併用した. 3例ともに, 下顎の前下方への移動を行い, 術後変化を側面頭部X線規格写真で計測し, 骨格系の変化について, ∠MP-FHと∠SNBの角度計測, 口蓋平面からのGoとMeの距離計測を行った. また, FH平面に平行でS点を通...
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Published in | 日本顎変形症学会雑誌 Vol. 8; no. 2; pp. 126 - 127 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本顎変形症学会
15.08.1998
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ISSN | 0916-7048 |
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Summary: | 下顎枝矢状分割法により下顎骨の前方移動を行った場合, 舌骨上筋群, 下顎骨周囲の軟組織, 皮膚などの伸展により後戻り傾向が現れやすいとされている. 今回われわれは, 下顎のみの顎矯正手術によって咬合および審美性の改善をはかった3症例について, 術後の変化を計測したので報告する. 症例は手術時年齢が16歳, 20歳, 24歳の3例で, 3例中2例にオトガイ形成術を併用した. 3例ともに, 下顎の前下方への移動を行い, 術後変化を側面頭部X線規格写真で計測し, 骨格系の変化について, ∠MP-FHと∠SNBの角度計測, 口蓋平面からのGoとMeの距離計測を行った. また, FH平面に平行でS点を通る直線をX軸, それに直交してS点を通る直線をY軸とする座標を想定し, PogとMeの位置変化を計測した. オトガイ形成術を併用した2例については, 新たに形成されたオトガイ部の断面積を求め, その吸収程度を計測した. 結果:術後6ヵ月間の変化としては, 3例とも∠MP-FHが増加し, 口蓋平面からのGoとMeの各距離は短縮した. PogとMeについては, 1例は後上方への位置変化を, 2例は前上方への位置変化をそれぞれ示した. オトガイ形成を行った症例のオトガイ部断面積は, 主に術後6ヵ月目から1年にかけてより多く減少した. 質問 広島大, 歯, 矯正 田中栄二 3症例の骨格のタイプはすべて同じなのかどうか. 回答 宮崎医大, 歯口外 井上奈穂子 プロフィログラムで, 上顎骨の形態や大きさ, 位置が正常で, 下顎のみに変形が認められた症例のみを対象としました. 質問 福岡医療短大 升井一朗 オトガイ形成術では舌側の筋を剥離しますか. 術後6ヵ月以上経過して断面積が減少した理由は何でしょうか. 回答 宮崎医大, 歯口外 迫田隅男 オトガイ形成の時は, オトガイ部の舌側に付着する舌骨上筋群は剥離せずに前方移動しています. 6ヵ月以降に前方に移動したオトガイ骨片の明らかな吸収が強く発現した1つの原因として, われわれは術後約6ヵ月で固定用プレートを除去しているため, この手術による影響も少し考えられます. |
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ISSN: | 0916-7048 |