CABG後脳梗塞をきたしリハビリテーションに難渋した1例

われわれはCABG術後に脳梗塞を発症し, リハビリテーション(以下, リハと略す)に難渋した1例を経験した. 症例は71歳の男性である. 脳梗塞は右前大脳動脈および中大脳動脈領域の広範囲なものであった. 麻痺も重度であり, 高次脳機能障害も認められた. 心機能は, EF 15%と極度に低下しており, また心室性期外収縮が多発していた. そのため, 訓練は心臓に対する十分な管理の下に行われた. 不整脈のために訓練を中止することも多く, リハの進行は遅れぎみであった. 入院時, Barthel Indexは23点で, 食事, 整容以外はほぼ全介助であった. 退院時はトランスファー遠位監視, 4点杖...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 33; no. 2; p. 132
Main Authors 冨田祐司, 米本恭三, 宮野佐年, 福田千晶, 安保雅博, 真塩清, 中根理江, 植松海雲
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.02.1996
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ISSN0034-351X

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Summary:われわれはCABG術後に脳梗塞を発症し, リハビリテーション(以下, リハと略す)に難渋した1例を経験した. 症例は71歳の男性である. 脳梗塞は右前大脳動脈および中大脳動脈領域の広範囲なものであった. 麻痺も重度であり, 高次脳機能障害も認められた. 心機能は, EF 15%と極度に低下しており, また心室性期外収縮が多発していた. そのため, 訓練は心臓に対する十分な管理の下に行われた. 不整脈のために訓練を中止することも多く, リハの進行は遅れぎみであった. 入院時, Barthel Indexは23点で, 食事, 整容以外はほぼ全介助であった. 退院時はトランスファー遠位監視, 4点杖で介助歩行, 排泄は自立した. 更衣, 入浴は要介助であり, Barthel Indexは68点であった. 当症例で心臓のリスクは訓練遂行の大きな阻害因子となったが, 最終的なゴールに大きな影響を与えたのは, 主に麻痺の程度と高次脳機能障害であった.
ISSN:0034-351X