PAN膜活性炭を用いた潅流法の基礎的検討

急性肝不全にて血中に増加する毒性物質の除去を図る為に,polyacrylonitrile (PAN)膜活性炭潅流法という新しい人工肝補助装置を開発した.PAN膜により中分子量以下の物質を濾過し,濾過液のみを裸の活性炭により吸着して体内に戻す閉鎖循環回路であり,PAN膜透析と異なり,水,電解質の変動がない.Dimethylnitrosamine静注による急性肝不全犬を用いて実験を行った.PAN膜の濾過効率はよく,中,低分子量物質の大部分を濾過したが,アミノ酸の一部や蛋白物質の濾過は不良だった.Biogel P-4による濾過液の280nmの吸収による分画パターンでは,濾過液は中・低分子量物質の範囲...

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Published in肝臓 Vol. 27; no. 1; pp. 20 - 27
Main Authors 山本, 匡介, 堺, 隆弘, 瀬戸口, 洋一, 高柳, 和弘, 藤井, 貞人, 東島, 正泰, 苅家, 利承, 本村, 光明, 渡辺, 法明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 25.01.1986
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.27.20

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Summary:急性肝不全にて血中に増加する毒性物質の除去を図る為に,polyacrylonitrile (PAN)膜活性炭潅流法という新しい人工肝補助装置を開発した.PAN膜により中分子量以下の物質を濾過し,濾過液のみを裸の活性炭により吸着して体内に戻す閉鎖循環回路であり,PAN膜透析と異なり,水,電解質の変動がない.Dimethylnitrosamine静注による急性肝不全犬を用いて実験を行った.PAN膜の濾過効率はよく,中,低分子量物質の大部分を濾過したが,アミノ酸の一部や蛋白物質の濾過は不良だった.Biogel P-4による濾過液の280nmの吸収による分画パターンでは,濾過液は中・低分子量物質の範囲に局在し,活性炭後では平担であり,完全に吸着された事を示した.薬剤負荷での消失曲線では,障害犬と正常犬との差はわずかだったが,アミノピリン,クロラムフェニコール負荷にて,若干の差を認めた.アミノ酸負荷では,分枝アミノ酸のクリアランスは芳香族アミノ酸より大きかった.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.27.20