結核性膿胸に伴った流注膿瘍の1例

症例は65歳, 女性. 肺炎の診断のもと療養中, 右背部に圧痛が出現したため精査目的にて紹介となった. 胸部X線写真では右下肺野に粒状, 網状影を認め, 胸膜肥厚を伴う胸水貯留を認めた. 超音波検査では圧痛部に一致して, 内部が均一な低エコーの cystic mass を認めた. この病変は右腎の背側で, 右腸腰筋の腹側に位置していた. CTでこの病変の内側は water density で, marginal enhancement を伴っており, 膿瘍と考えられた. 結核性膿胸に伴う流注膿瘍と考え右背部の膿瘍部を試験穿刺したところ, 得られた膿性液より M. tuberculosis が分...

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Published in日本胸部疾患学会雑誌 Vol. 32; no. 7; pp. 662 - 665
Main Authors 津村, 眞, 影山, 浩, 塩見, 勝彦, 中村, 之信, 稲田, 俊雄, 井手, 宏
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 社団法人 日本呼吸器学会 25.07.1994
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ISSN0301-1542
1883-471X
DOI10.11389/jjrs1963.32.662

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Summary:症例は65歳, 女性. 肺炎の診断のもと療養中, 右背部に圧痛が出現したため精査目的にて紹介となった. 胸部X線写真では右下肺野に粒状, 網状影を認め, 胸膜肥厚を伴う胸水貯留を認めた. 超音波検査では圧痛部に一致して, 内部が均一な低エコーの cystic mass を認めた. この病変は右腎の背側で, 右腸腰筋の腹側に位置していた. CTでこの病変の内側は water density で, marginal enhancement を伴っており, 膿瘍と考えられた. 結核性膿胸に伴う流注膿瘍と考え右背部の膿瘍部を試験穿刺したところ, 得られた膿性液より M. tuberculosis が分離同定された. 抗結核療法を施行し, 症状の軽減および病変の範囲確定の目的にてドレナージを行った. ドレナージチューブよりの造影により膿瘍腔は瘻孔を経由して右胸膜腔に連続する事が判明した. 流注膿瘍は脊椎あるいは関節の結核性病変に伴うものとされるが, 本症例ではいずれの病変も指摘されず, きわめて稀な症例と考えられた.
ISSN:0301-1542
1883-471X
DOI:10.11389/jjrs1963.32.662