腫瘍の先端部に上皮内進展を認めた肺門部乳頭型扁平上皮癌の1例

背景 : 肺門部扁平上皮癌は外方性に発育することがあるが, 高度な局所進展のため治癒切除が困難な例も多い. 症例 : 症例は58歳男性. 検診で右胸部異常影を指摘された. 気管支鏡で右上幹を閉塞する腫瘍を認め, 扁平上皮癌と診断し右肺上葉切除術を施行した. 術中迅速診で気管支断端に上皮内進展する癌の遺残を認め追加切除により完全切除を行い得た. 腫瘍は, 気管支壁に沿って進展すると共に外方性にも発育し, 右上幹入口部から亜区域支の内腔を充満する4.5cmの樹枝状腫瘤を形成していた. 組織学的には, 高分化な乳頭型扁平上皮癌であり, 増殖の先端部では上皮内を進展していた. しかし, 壁深達性の浸潤...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 19; no. 4; pp. 622 - 627
Main Authors 鬼塚, 正孝, 稲毛, 芳永, 山本, 達生, 石川, 成美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.05.2005
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.19.622

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Summary:背景 : 肺門部扁平上皮癌は外方性に発育することがあるが, 高度な局所進展のため治癒切除が困難な例も多い. 症例 : 症例は58歳男性. 検診で右胸部異常影を指摘された. 気管支鏡で右上幹を閉塞する腫瘍を認め, 扁平上皮癌と診断し右肺上葉切除術を施行した. 術中迅速診で気管支断端に上皮内進展する癌の遺残を認め追加切除により完全切除を行い得た. 腫瘍は, 気管支壁に沿って進展すると共に外方性にも発育し, 右上幹入口部から亜区域支の内腔を充満する4.5cmの樹枝状腫瘤を形成していた. 組織学的には, 高分化な乳頭型扁平上皮癌であり, 増殖の先端部では上皮内を進展していた. しかし, 壁深達性の浸潤傾向には乏しく, 癌のほとんどは気管支壁内に留まっていた. 結論 : 肺門部乳頭型扁平上皮癌は, 外方性発育により気管支内腔を充満する腫瘤を形成する場合でも, 先端部で上皮内進展することがあり, 気管支切除線の決定には術中迅速病理組織検査が重要である.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.19.622