原発性心内膜線維弾性症の臨床 生存例と死亡例の検討

原発性心内膜線維弾性症は小児, 特に乳児期に発症する予後不良な疾患で, 発生頻度はKeithらによれば先天性心疾患中の0.94%とまれである.本症の基本的病態は, 弾性線維や膠原線維の増生による心内膜の線維性肥厚にあり, その病因には様々な説があるが確定的なものはない.単一の要因では説明が困難で, 1つの独立した疾患ではなく種々の原因に基づいた反応過程の病理学的な最終像であろうと考えられている.本症は一般的に予後不良で, 治療に抵抗し心不全の悪化を繰返し死亡する例が多い.しかし, 心不全の治療で寛解状態になり長期生存例も報告されるようになった. 我々は6例の原発性心内膜線維弾性症を経験し, そ...

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Published in北関東医学 Vol. 42; no. 2; pp. 125 - 132
Main Authors 田代, 雅彦, 小林, 富男, 曽根, 克彦, 小林, 敏宏, 田端, 裕之, 小須田, 貴史, 小野, 真康, 広野, 一輝
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 北関東医学会 01.03.1992
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ISSN0023-1908
1883-6135
DOI10.2974/kmj1951.42.125

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Summary:原発性心内膜線維弾性症は小児, 特に乳児期に発症する予後不良な疾患で, 発生頻度はKeithらによれば先天性心疾患中の0.94%とまれである.本症の基本的病態は, 弾性線維や膠原線維の増生による心内膜の線維性肥厚にあり, その病因には様々な説があるが確定的なものはない.単一の要因では説明が困難で, 1つの独立した疾患ではなく種々の原因に基づいた反応過程の病理学的な最終像であろうと考えられている.本症は一般的に予後不良で, 治療に抵抗し心不全の悪化を繰返し死亡する例が多い.しかし, 心不全の治療で寛解状態になり長期生存例も報告されるようになった. 我々は6例の原発性心内膜線維弾性症を経験し, その4例が内科的治療に良く反応し現在寛解状態にあり, 2例が治療に抵抗し心不全の悪化を繰返し死亡した.これら生存例と死亡例の臨床経過, 検査所見を検討した.発症から治療開始までの経過期間, 左側胸部誘導上の低電位と極端な高電位, 病理組織像における心内膜の線維化の程度などが予後を判断する因子として重要と思われた.また, 寛解例も左心機能低下が残存しており長期問の注意深い経過観察と生活指導が必要である.
ISSN:0023-1908
1883-6135
DOI:10.2974/kmj1951.42.125