甲状腺機能亢進症に高Ca尿症を伴い, 蛍光抗体法でIgA陽性, 電子顕微鏡で糸球体係蹄壁のびまん性肥厚を認めた蛋白尿・血尿の女児例
慢性甲状腺炎や甲状腺機能亢進症において,甲状腺成分を抗原とする免疫複合体が腎糸球体に沈着し,膜性腎症の合併をみることがある。一方,ヒトの糸球体基底膜の厚さは年令により多少の差異はあるものの,成人で200-400nm (平均300nm) といわれており,糖尿病性腎症において糸球体基底膜が肥厚することは有名である。今回,血尿と蛋白尿を認めた9歳の女児で,甲状腺機能亢進症 (いわゆるバセドー病) に高Ca尿症 (Ca制限・負荷テストでは吸収性高Ca尿症と診断) を伴い,腎生検を施行したところ,IgAの沈着と糸球体基底膜のびまん性肥厚 (約700nm) を認めた症例を経験した。極めて珍しい症例と考えら...
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Published in | 日本小児腎臓病学会雑誌 Vol. 5; no. 1; pp. 83 - 88 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本小児腎臓病学会
15.05.1992
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Summary: | 慢性甲状腺炎や甲状腺機能亢進症において,甲状腺成分を抗原とする免疫複合体が腎糸球体に沈着し,膜性腎症の合併をみることがある。一方,ヒトの糸球体基底膜の厚さは年令により多少の差異はあるものの,成人で200-400nm (平均300nm) といわれており,糖尿病性腎症において糸球体基底膜が肥厚することは有名である。今回,血尿と蛋白尿を認めた9歳の女児で,甲状腺機能亢進症 (いわゆるバセドー病) に高Ca尿症 (Ca制限・負荷テストでは吸収性高Ca尿症と診断) を伴い,腎生検を施行したところ,IgAの沈着と糸球体基底膜のびまん性肥厚 (約700nm) を認めた症例を経験した。極めて珍しい症例と考えられたので,報告するとともに,病態の仮設を提唱した。 |
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ISSN: | 0915-2245 1881-3933 |
DOI: | 10.3165/jjpn.5.83 |