六配位フッ化硫黄構造を有する生理活性分子の開発

「1. はじめに」六フッ化硫黄(sulfur hexafluoride: SF6)に代表される六配位フッ化硫黄化合物は, 超原子価の硫黄原子を中心とした正八面体型の構造を有している. SF6は絶縁などの工業用途で用いられるガス分子であるが, SF6の1つ, 又は2つのフッ素原子が炭素原子などに置換されたペンタフルオロスルファニル基(pentafluorosulfanyl: SF5)と, テトラフルオロスルファニル基(tetrafluorosulfanyl: SF4)は, 有機化合物の官能基として知られている. これらは非常にユニークな電子的, 構造的特徴を有しており, 従来の官能基では達成でき...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inYAKUGAKU ZASSHI Vol. 143; no. 5; pp. 429 - 434
Main Authors 影近, 弘之, 森, 修一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本薬学会 01.05.2023
日本薬学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0031-6903
1347-5231
DOI10.1248/yakushi.22-00205-2

Cover

More Information
Summary:「1. はじめに」六フッ化硫黄(sulfur hexafluoride: SF6)に代表される六配位フッ化硫黄化合物は, 超原子価の硫黄原子を中心とした正八面体型の構造を有している. SF6は絶縁などの工業用途で用いられるガス分子であるが, SF6の1つ, 又は2つのフッ素原子が炭素原子などに置換されたペンタフルオロスルファニル基(pentafluorosulfanyl: SF5)と, テトラフルオロスルファニル基(tetrafluorosulfanyl: SF4)は, 有機化合物の官能基として知られている. これらは非常にユニークな電子的, 構造的特徴を有しており, 従来の官能基では達成できない電子的性質や立体構造を有機分子に付与することが可能である. そのため, これらを生理活性化合物に用いることで, 斬新な特徴を有する医薬分子の創製につながることが期待される. 本稿では, SF5基とSF4基を用いた生理活性化合物の構築について, 筆者らの研究成果を交えて概説する.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.22-00205-2