ABO血液型不一致腎移植における移植腎放射線照射

「I はじめに」わが国では, 年々腎移植の件数は増加傾向にあるが, そのほとんどが生体腎移植である. 生体腎移植においては, ドナーのABO血液型がレシピエントと一致することが理想的であるが, ABO血液型不一致もしくはABO血液型不適合腎移植が行われることもある. そのうち, ABO血液型不一致腎移植では, 急性期において溶血性貧血が生じうることが知られている. これは移植腎内に潜在するドナー由来のリンパ球が, 移植後にレシピエントの体内環境へ侵入した際, レシピエントの赤血球抗原に対する抗体を産生する移植片対宿主反応(GVH)であると言われている. 時に重篤な副作用となる溶血性貧血を予防す...

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Published in信州医学雑誌 Vol. 64; no. 3; pp. 147 - 151
Main Authors 松下, 大秀, 小岩井, 慶一郎, 角谷, 眞澄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 信州医学会 10.06.2016
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ISSN0037-3826
1884-6580
DOI10.11441/shinshumedj.64.147

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Summary:「I はじめに」わが国では, 年々腎移植の件数は増加傾向にあるが, そのほとんどが生体腎移植である. 生体腎移植においては, ドナーのABO血液型がレシピエントと一致することが理想的であるが, ABO血液型不一致もしくはABO血液型不適合腎移植が行われることもある. そのうち, ABO血液型不一致腎移植では, 急性期において溶血性貧血が生じうることが知られている. これは移植腎内に潜在するドナー由来のリンパ球が, 移植後にレシピエントの体内環境へ侵入した際, レシピエントの赤血球抗原に対する抗体を産生する移植片対宿主反応(GVH)であると言われている. 時に重篤な副作用となる溶血性貧血を予防する手段の一つとして, 必須ではなくかつ報告自体も少ないものの, 移植腎に放射線照射を行うことがある. 今回, 当院で行われたABO血液型不一致腎移植における移植腎放射線照射について遡及的な検討を行ったので報告する.
ISSN:0037-3826
1884-6580
DOI:10.11441/shinshumedj.64.147