胃癌との鑑別が困難であったNSAIDs潰瘍による胃幽門狭窄の1例

症例は49歳, 女性. 35歳時に他医院で関節リウマチと診断され38歳頃よりジクロフェナクナトリウムの服用を開始した. 2006年秋頃より心窩部痛, 食欲不振および体重減少を認め2007年3月の上部消化管内視鏡検査では広範囲の胃潰瘍による幽門前部の狭小化を認めた. 胃癌を疑い生検を行ったが癌病変は認めず, 迅速ウレアーゼ試験ではH.pyloriは陰性であった. 保存的治療を行ったが幽門狭窄が進行したため手術を施行した. 病理組織学的には活動性潰瘍で, 癌病変は認めなかった. 最近では有効な抗潰瘍薬, H.pylori除菌治療や内視鏡的治療手技の進歩により外科手術に至る胃潰瘍症例は比較的まれであ...

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Published inTHE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 58; no. 2; pp. 229 - 233
Main Authors 饗場, 正明, 竹吉, 泉, 柿沼, 臣一, 坂元, 一葉, 山崎, 穂高
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 北関東医学会 01.05.2008
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ISSN1343-2826
1881-1191
DOI10.2974/kmj.58.229

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Summary:症例は49歳, 女性. 35歳時に他医院で関節リウマチと診断され38歳頃よりジクロフェナクナトリウムの服用を開始した. 2006年秋頃より心窩部痛, 食欲不振および体重減少を認め2007年3月の上部消化管内視鏡検査では広範囲の胃潰瘍による幽門前部の狭小化を認めた. 胃癌を疑い生検を行ったが癌病変は認めず, 迅速ウレアーゼ試験ではH.pyloriは陰性であった. 保存的治療を行ったが幽門狭窄が進行したため手術を施行した. 病理組織学的には活動性潰瘍で, 癌病変は認めなかった. 最近では有効な抗潰瘍薬, H.pylori除菌治療や内視鏡的治療手技の進歩により外科手術に至る胃潰瘍症例は比較的まれであるが, 本症例のような胃癌との鑑別を要する幽門狭窄症例には現在のところ手術が最良の治療と考えられた.
ISSN:1343-2826
1881-1191
DOI:10.2974/kmj.58.229