腹腔鏡補助下に手術を施行した成人小腸間膜嚢胞状リンパ管腫の1例

症例は67歳,男性.下腹部の疼痛を伴う腹部膨隆を主訴に来院された.腹部超音波検査所見で左下腹部腸間膜内に一部隔壁を伴う嚢胞性病変を認めた.充実成分はなく,内部は均一な低エコーであった.腹部造影CT検査ではトライツ靭帯付近の空腸間膜に造影効果の乏しい低吸収腫瘤を認めた.空腸間膜嚢胞状腫瘍と診断し手術を行った.腹腔鏡下に腹腔内を観察すると,トライツ靭帯近くの空腸間膜に白色調の柔らかな嚢胞状腫瘍性病変を認めた.鏡視下に嚢胞を損傷しないよう愛護的に空腸を十分に授動し切除範囲を決め,直視下に病変部を含む空腸を切除した.腫瘍は乳白色の腫瘍性病変であり,組織学的に漿膜脂肪組織部に多房性の嚢胞性病変を認め,嚢...

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Published in山口医学 Vol. 72; no. 2; pp. 63 - 67
Main Authors 重田, 匡利, 池下, 貴広, 久我, 貴之, 矢野, 由香
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 山口大学医学会 29.05.2023
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ISSN0513-1731
1880-4462
DOI10.2342/ymj.72.63

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Summary:症例は67歳,男性.下腹部の疼痛を伴う腹部膨隆を主訴に来院された.腹部超音波検査所見で左下腹部腸間膜内に一部隔壁を伴う嚢胞性病変を認めた.充実成分はなく,内部は均一な低エコーであった.腹部造影CT検査ではトライツ靭帯付近の空腸間膜に造影効果の乏しい低吸収腫瘤を認めた.空腸間膜嚢胞状腫瘍と診断し手術を行った.腹腔鏡下に腹腔内を観察すると,トライツ靭帯近くの空腸間膜に白色調の柔らかな嚢胞状腫瘍性病変を認めた.鏡視下に嚢胞を損傷しないよう愛護的に空腸を十分に授動し切除範囲を決め,直視下に病変部を含む空腸を切除した.腫瘍は乳白色の腫瘍性病変であり,組織学的に漿膜脂肪組織部に多房性の嚢胞性病変を認め,嚢胞壁には平滑筋を認め嚢胞状リンパ管腫と診断された.成人発症の腸管膜リンパ管腫は稀であり,手術の際には被膜の扱いが重要となる.文献的考察を加え報告する.
ISSN:0513-1731
1880-4462
DOI:10.2342/ymj.72.63