精神疾患が疑われ精神科を受診した脳器質性疾患の2症例

「はじめに」精神医療では, 精神障害の成り立ちとしていわゆる内因, 心因, 外因が従来から重視されてきた. 内因性精神疾患には統合失調症や気分障害, 心因性精神疾患には神経症圏, そして外因性精神疾患には身体疾患による症状精神病や脳器質性精神病が含まれる. そして, 心因性精神疾患や内因性精神疾患の鑑別診断では, まずは必ず外因性精神疾患を除外することが大原則とされている. しかし, 実際にはこのような事例は非常にまれなこともあり, 実臨床の中でややもすると簡単な診療で器質性精神疾患を除外している可能性もある. 今回, われわれは日々の外来診療で, 抑うつや食欲低下から精神疾患が疑われてメンタ...

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Published in順天堂醫事雑誌 Vol. 59; no. 4; pp. 360 - 362
Main Authors 久保嶋, 哲郎, 波多野, 暁子, 伊藤, 昌徳, 秋葉, ちひろ, 熊谷, 亮, 宮川, 晃一, 新井, 平伊, 澤村, 智子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 順天堂医学会 2013
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ISSN2187-9737
2188-2126
DOI10.14789/jmj.59.360

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Summary:「はじめに」精神医療では, 精神障害の成り立ちとしていわゆる内因, 心因, 外因が従来から重視されてきた. 内因性精神疾患には統合失調症や気分障害, 心因性精神疾患には神経症圏, そして外因性精神疾患には身体疾患による症状精神病や脳器質性精神病が含まれる. そして, 心因性精神疾患や内因性精神疾患の鑑別診断では, まずは必ず外因性精神疾患を除外することが大原則とされている. しかし, 実際にはこのような事例は非常にまれなこともあり, 実臨床の中でややもすると簡単な診療で器質性精神疾患を除外している可能性もある. 今回, われわれは日々の外来診療で, 抑うつや食欲低下から精神疾患が疑われてメンタルクリニックを受診した患者のうち, 検査の結果脳疾患が見つかり脳外科の協力のもと早期治療によりそれらが回復した症例を経験したので, 今後の実臨床に参考になると判断しここに紹介する.
ISSN:2187-9737
2188-2126
DOI:10.14789/jmj.59.360