繰り返すTIAを呈した前大脳動脈解離の1例

従来椎骨脳底動脈系に多いとされてきた動脈解離であるが, 内頸動脈系に生じた報告も散見されるようになった. しかしいまだにその病態, 治療に関し一定の見解はない. 今回われわれは, 繰り返すTIAで発症し, 脳血管撮影で経時的に解離の進行をとらえ, 外科的治療が有効であった症例を経験したので報告する. 症例 37歳, 男性. 自衛官. 野外での仕事中, 右上下肢脱力, 言語障害で発症. 近医より紹介され, 当院に搬入された. 搬入時神経学的には上肢3/5, 下肢2/5程度の右片麻庫, 運動性優位の失語を認めた. 発作時より前頭部を中心とした軽い頭痛を認めた. 高血圧症以外に, risk fact...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 26; no. 6; pp. 444 - 448
Main Authors 谷川, 緑野, 和田, 始, 石崎, 智章, 泉, 直人, 橋本, 政明, 上山, 博康, 藤田, 力
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 1998
日本脳卒中の外科学会
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ISSN0914-5508
1880-4683
DOI10.2335/scs1987.26.6_444

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Summary:従来椎骨脳底動脈系に多いとされてきた動脈解離であるが, 内頸動脈系に生じた報告も散見されるようになった. しかしいまだにその病態, 治療に関し一定の見解はない. 今回われわれは, 繰り返すTIAで発症し, 脳血管撮影で経時的に解離の進行をとらえ, 外科的治療が有効であった症例を経験したので報告する. 症例 37歳, 男性. 自衛官. 野外での仕事中, 右上下肢脱力, 言語障害で発症. 近医より紹介され, 当院に搬入された. 搬入時神経学的には上肢3/5, 下肢2/5程度の右片麻庫, 運動性優位の失語を認めた. 発作時より前頭部を中心とした軽い頭痛を認めた. 高血圧症以外に, risk factorを認めなかった. CTでは頭蓋内に明らかな病変を認めず(Fig. 1A), 脳血管撮影では, 左A2起始部に壁の不整を認めた(Fig. 2A). 発症後約4時間後に症状は消失した.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs1987.26.6_444