増悪時にE抗原及びc抗原の著しい減弱を認めた骨髄異形成症候群の1例

我々は,骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndrome:MDS)の増悪時にE抗原及びc抗原が著しく減弱し,抗E及び抗c自己抗体検出時の直接抗グロブリン試験(DAT)が陰性になる症例を経験した. 79歳女性.2010年3月に汎血球減少症の精査・加療目的で入院となった.骨髄所見は異形成を伴った赤芽球が優位でMDS(RAEB-1)と診断された.初診時の血液型はB型RhD陽性,不規則抗体は間接抗グロブリン法(IAT)陰性であった.初診時より55病日にIATが陽性となり抗Eを検出したが,DATは陰性であった.同時に実施したRhフェノタイプ検査ではE抗原が(w+mf),c抗原が(w+m...

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Published in日本輸血細胞治療学会誌 Vol. 59; no. 6; pp. 813 - 818
Main Authors 蟹井, はるか, 大曽根, 和子, 前島, 理恵子, 難波, 宏美, 笠井, 英利, 白藤, 尚毅, 藤原, 孝記, 冨山, 秀和, 脇本, 信博, 永友, ひとみ, 金子, 強
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会 2013
日本輸血・細胞治療学会
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ISSN1881-3011
1883-0625
DOI10.3925/jjtc.59.813

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Summary:我々は,骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndrome:MDS)の増悪時にE抗原及びc抗原が著しく減弱し,抗E及び抗c自己抗体検出時の直接抗グロブリン試験(DAT)が陰性になる症例を経験した. 79歳女性.2010年3月に汎血球減少症の精査・加療目的で入院となった.骨髄所見は異形成を伴った赤芽球が優位でMDS(RAEB-1)と診断された.初診時の血液型はB型RhD陽性,不規則抗体は間接抗グロブリン法(IAT)陰性であった.初診時より55病日にIATが陽性となり抗Eを検出したが,DATは陰性であった.同時に実施したRhフェノタイプ検査ではE抗原が(w+mf),c抗原が(w+mf)と極めて弱い反応を示していた.その後,抗cも検出された.骨髄細胞を用いたG-banding法の結果,種々の染色体異常を認めたが第1染色体短腕に異常は認められなかった.また,PCR-SSP法を用いたRHCE遺伝子解析の結果,55病日の検体においてC,c,E,eの増幅が認められ,R1R2(CcDEe)と判定された. 本症例はMDSの増悪に伴ってE抗原およびc抗原に著しい減弱が認められた.
ISSN:1881-3011
1883-0625
DOI:10.3925/jjtc.59.813