在宅脳卒中後遺症者の心理的適応

現在, わが国の脳血管疾患患者数は年毎に増加している. したがって今後, 施設, 在宅で生活する脳卒中後遺症者のために, 質の高い健やかで生きがいのある生活を実現させる努力が必要とされる. リハビリテーションの目的の一つは「社会参加」や「地域再定住」である. 社会参加には, 全人間的観点から, 障害の受容を含む心理社会的観点の重要性は従来から注目されてきた. しかし, 脳卒中後遺症者が「社会参加」するために, QOL, 心理的因子, 疾患の特性やADLなどの能力低下の要因がどのような因果関係にあるのか, また, 医学的リハビリテーションの役割については明らかにされていなかった. 一方, 心理社...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inTHE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 57; no. 1; pp. 59 - 60
Main Author 外里, 冨佐江
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 北関東医学会 2007
Online AccessGet full text
ISSN1343-2826
1881-1191
DOI10.2974/kmj.57.59

Cover

More Information
Summary:現在, わが国の脳血管疾患患者数は年毎に増加している. したがって今後, 施設, 在宅で生活する脳卒中後遺症者のために, 質の高い健やかで生きがいのある生活を実現させる努力が必要とされる. リハビリテーションの目的の一つは「社会参加」や「地域再定住」である. 社会参加には, 全人間的観点から, 障害の受容を含む心理社会的観点の重要性は従来から注目されてきた. しかし, 脳卒中後遺症者が「社会参加」するために, QOL, 心理的因子, 疾患の特性やADLなどの能力低下の要因がどのような因果関係にあるのか, また, 医学的リハビリテーションの役割については明らかにされていなかった. 一方, 心理社会的な調査では, 精神的状態(情緒. 知的), 社会的人間関係, 経済的状態, 自覚的(主観的)健康状態などの質問紙に回答するためには, 一定水準以上の認知機能が必要とされる. QOLの尺度や, 心理尺度は, 一般社会人, 学生, 一般高齢者や, 高血圧, 糖尿病などの慢性疾患患者のために開発されたものが多く, 高次脳機能障害を伴うことが多い脳卒中後遺症者に対して, これらの尺度を使用した場合の信頼性については十分な検討は行われていなかった. したがって, われわれは, 第一に在宅脳卒中高齢者を対象に, 高齢者, 障害者の評価に用いられている評価尺度の信頼性を検討した.
ISSN:1343-2826
1881-1191
DOI:10.2974/kmj.57.59