子宮頸部腺様基底細胞癌の1例

症例は, 69歳女性で, 初めて子宮がん検診を受けたところ, 細胞診で子宮頸部腺癌と診断された. 翌月当科初診. コルポ診はUCF, 経腟超音波断層検査では内膜は線状で菲薄, 子宮腟部, 頸管内, 内膜腔から細胞を採取したが, 再生細胞のみで陰性との結果であった. 内膜掻爬組織診では組織はほとんど採取されなかったが, 扁平上皮系のがんを疑う所見が認められた. MRIおよびCTで病巣およびリンパ節腫大は指摘できず, 早期の子宮内膜がんと診断し, 1ヶ月後, 腹式子宮全摘術と両側付属器摘出術を行った. 摘出物の病理組織診断は, 子宮頸部のadenoid basal carcinomaで浸潤の深さ...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inTHE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 66; no. 1; pp. 11 - 14
Main Authors 中村, 和人, 木暮, 圭子, 伊吹, 友二, 飯島, 美砂, 鹿沼, 達哉, 土田, 秀, 神山, 晴美, 西村, 俊夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 北関東医学会 01.02.2016
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1343-2826
1881-1191
DOI10.2974/kmj.66.11

Cover

More Information
Summary:症例は, 69歳女性で, 初めて子宮がん検診を受けたところ, 細胞診で子宮頸部腺癌と診断された. 翌月当科初診. コルポ診はUCF, 経腟超音波断層検査では内膜は線状で菲薄, 子宮腟部, 頸管内, 内膜腔から細胞を採取したが, 再生細胞のみで陰性との結果であった. 内膜掻爬組織診では組織はほとんど採取されなかったが, 扁平上皮系のがんを疑う所見が認められた. MRIおよびCTで病巣およびリンパ節腫大は指摘できず, 早期の子宮内膜がんと診断し, 1ヶ月後, 腹式子宮全摘術と両側付属器摘出術を行った. 摘出物の病理組織診断は, 子宮頸部のadenoid basal carcinomaで浸潤の深さ (病巣の存在は最深部でも3 mm未満であった) は浅く, 脈管侵襲も認められないことから, 経過観察とした. 手術から5年, 再発なく経過している. 子宮頸部腺様基底細胞癌が極めて希であるが, このような疾患に遭遇することも考慮し, 術前診断においては円錐切除術による病理診断を含め, 侵襲的検査も辞さない対応が必要と判断された.
ISSN:1343-2826
1881-1191
DOI:10.2974/kmj.66.11