胸水貯留患者における局麻下胸腔鏡検査

【目的】胸水貯留患者に対する局麻下胸腔鏡検査の有用性と安全性について検討した. 【対象と方法】胸水貯留患者を対象に局所麻酔下に観察側の肺を虚脱させ8mmのフレキシブルトロッカーを挿入し胸腔鏡にて胸腔内を観察した. なお術中は経鼻にて酸素投与し酸素飽和度をモニターした. 【結果】これまで胸腔鏡を実施した症例は40例でそのうち悪性胸水22例, 抗癌剤治療, 放射線療法関連の胸水は6例, 結核性胸膜炎3例, 膿胸2例, Gorham病1例, 原因不明胸水6例であった. 悪性胸水22例のうち胸水細胞診陽性例は14例(63. 6%)であり, 細胞診陰性例8例(36. 4%)は胸腔鏡下生検で診断することが...

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Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 25; no. 3; p. 205
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Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2003
日本気管支学会
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.25.3_205_2

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Summary:【目的】胸水貯留患者に対する局麻下胸腔鏡検査の有用性と安全性について検討した. 【対象と方法】胸水貯留患者を対象に局所麻酔下に観察側の肺を虚脱させ8mmのフレキシブルトロッカーを挿入し胸腔鏡にて胸腔内を観察した. なお術中は経鼻にて酸素投与し酸素飽和度をモニターした. 【結果】これまで胸腔鏡を実施した症例は40例でそのうち悪性胸水22例, 抗癌剤治療, 放射線療法関連の胸水は6例, 結核性胸膜炎3例, 膿胸2例, Gorham病1例, 原因不明胸水6例であった. 悪性胸水22例のうち胸水細胞診陽性例は14例(63. 6%)であり, 細胞診陰性例8例(36. 4%)は胸腔鏡下生検で診断することができた. 抗癌剤治療, 放射線療法関連の胸水症例は6例で, 胸膜の血管新生が特徴的所見であった. 結核性胸膜炎の3例は胸水の塗抹, 培養, PCRで結核菌陰性であり胸腔鏡下生検により診断することができた. 原因不明胸水は6例でリンパ球優位の滲出性胸水5例に対し抗結核剤投与を行い経過を観察した. いずれの症例も胸水の減少を認め病態の悪化はなかった. 術中の酸素投与により酸素飽和度の低下は軽度であり, 特に重篤な合併症はなかった. 【考察】局麻下胸腔鏡検査は比較的安全で胸水貯留疾患の診断および速やかな治療方針の決定に有用と思われる. また, 胸水検査, 胸腔鏡検査をおこなっても診断の得られない胸水症例では安全に経過観察することができると考えられた.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.25.3_205_2