温泉医療と社会保険

医療と社会保険と云うテーマは申し上げるまでもなく, 余りにも大きくかつその分野も多方面にわたっており, もとより浅学非才な私のなすところではございませんが, 温泉医療と社会保険につきましては, かねてより感ずるところあり, また第一線開業医の立場から見るのも一考かと思いましたので, その1, 2について述べてみます. I 医療側からみた温泉利用の組織化について 温泉気候を医療として応用し, これを社会保険の仕組の中にくり入れて, その運営を効率よく成果をあげるためには, この際医師側において温泉利用の組織化を改めて確立し直す必要があるのではなかろうかと考えます. 即ち各県単位にその中枢となるべ...

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Published inThe Journal of The Japanese Society of Balneology, Climatology and Physical Medicine Vol. 36; no. 1-2; pp. 52 - 53
Main Author 杉江, 忠之助
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本温泉気候物理医学会 1972
日本温泉気候物理医学会
The Japanese Society of Balneology, Climatology and Physical Medicine
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ISSN0029-0343
1884-3697
DOI10.11390/onki1962.36.52

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Summary:医療と社会保険と云うテーマは申し上げるまでもなく, 余りにも大きくかつその分野も多方面にわたっており, もとより浅学非才な私のなすところではございませんが, 温泉医療と社会保険につきましては, かねてより感ずるところあり, また第一線開業医の立場から見るのも一考かと思いましたので, その1, 2について述べてみます. I 医療側からみた温泉利用の組織化について 温泉気候を医療として応用し, これを社会保険の仕組の中にくり入れて, その運営を効率よく成果をあげるためには, この際医師側において温泉利用の組織化を改めて確立し直す必要があるのではなかろうかと考えます. 即ち各県単位にその中枢となるべき大学や綜合病院内に温泉気候医学クリニックを設置し, ここをキーポイントとして第一線開業医(この場合仮称温泉専門医或いは指定医), 他の温泉病院などと夫々連絡連係を密にすることによって, 適切なる温泉気候の医学的応用に対して, 各関係者の認識をより高めていくと共に各医療機関相互の情報交換が容易となること. 患者に対してはより適切な療養温泉を指定出来るようになり, また温泉の効果に対する追跡調査とか, 薬物併用との関係とか, その他の問題に関しても比較的円滑にかつ組織的に出来るようになり, 温泉気侯の医学的応用を全国的な視野と規模の上に立って行い得るように致したいし, またそうなっていくのではあるまいかと考える次第でございます.
ISSN:0029-0343
1884-3697
DOI:10.11390/onki1962.36.52