頭頸部がん患者におけるS-1を含む化学放射線療法施行後の重篤な粘膜炎の発現リスクに関する検討
「緒言」頭頸部がんの発生頻度は全がんに対して5%程度と低い. 頭頸部には咀嚼, 嚥下, 発声, 呼吸など生活機能に重要な役割を果たす臓器が含まれ, これらが障害されると患者のQOLに非常に深刻な影響を及ぼす. 頭頸部がんの治療は, 手術, 放射線療法, 化学療法などが集学的に行われる. その中でも放射線療法はこれらの機能・形態の温存という点から最も主軸となる治療である. また, 放射線療法に化学療法を追加した化学放射線療法は進行がんに選択される. 局所進行上咽頭がんに対する放射線単独療法と化学放射線療法とのランダム化比較試験において, 化学放射線療法が放射線単独療法と比較して生存率を向上させる...
Saved in:
Published in | YAKUGAKU ZASSHI Vol. 137; no. 2; pp. 221 - 225 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本薬学会
01.02.2017
日本薬学会 |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
Cover
Loading…
Summary: | 「緒言」頭頸部がんの発生頻度は全がんに対して5%程度と低い. 頭頸部には咀嚼, 嚥下, 発声, 呼吸など生活機能に重要な役割を果たす臓器が含まれ, これらが障害されると患者のQOLに非常に深刻な影響を及ぼす. 頭頸部がんの治療は, 手術, 放射線療法, 化学療法などが集学的に行われる. その中でも放射線療法はこれらの機能・形態の温存という点から最も主軸となる治療である. また, 放射線療法に化学療法を追加した化学放射線療法は進行がんに選択される. 局所進行上咽頭がんに対する放射線単独療法と化学放射線療法とのランダム化比較試験において, 化学放射線療法が放射線単独療法と比較して生存率を向上させることが示されている(5年生存率67% vs. 37%, p=0.001). 一方, 放射線療法ではしばしば重篤な有害事象が発現し, 代表的な有害事象としては皮膚炎や粘膜炎, 味覚障害などがある. |
---|---|
ISSN: | 0031-6903 1347-5231 |
DOI: | 10.1248/yakushi.16-00077 |