凍結含浸食品の嚥下造影所見についての検討

現在, 嚥下障害患者に対する食品の多くは, 食品本来の形, 風味が失われていることが多く, およそ食欲をかきたてるものではない. これに対し, 広島県立総合技術研究所食品工業技術センターにおいて開発された凍結含浸食品は, 食品本来の形, 風味を保ったまま, 硬さを制御する凍結含浸法という新しい技術によって開発された軟らかい食品である. 本研究では, この食品に造影剤を浸透させて嚥下造影検査を行い, 33%イオパミドール, ゼリー/ヨーグルトを用いた場合と比較検討した. その結果, ゼリー/ヨーグルトで誤嚥を認めない症例においては, 33%イオパミドール摂取時の誤嚥の有無にかかわらず, 凍結含浸...

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Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 113; no. 3; pp. 110 - 114
Main Authors 平位, 知久, 福島, 典之, 片桐, 佳明, 小野, 邦彦, 益田, 慎, 羽嶋, 正明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会 2010
日本耳鼻咽喉科学会
Subjects
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ISSN0030-6622
1883-0854
DOI10.3950/jibiinkoka.113.110

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Summary:現在, 嚥下障害患者に対する食品の多くは, 食品本来の形, 風味が失われていることが多く, およそ食欲をかきたてるものではない. これに対し, 広島県立総合技術研究所食品工業技術センターにおいて開発された凍結含浸食品は, 食品本来の形, 風味を保ったまま, 硬さを制御する凍結含浸法という新しい技術によって開発された軟らかい食品である. 本研究では, この食品に造影剤を浸透させて嚥下造影検査を行い, 33%イオパミドール, ゼリー/ヨーグルトを用いた場合と比較検討した. その結果, ゼリー/ヨーグルトで誤嚥を認めない症例においては, 33%イオパミドール摂取時の誤嚥の有無にかかわらず, 凍結含浸食品で誤嚥を認めた症例はなかった. また, ゼリー/ヨーグルトに比較して, 凍結含浸食品の方が, やや残留を多く認める傾向にあった. したがって, 嚥下障害患者に対して, 嚥下造影による十分な評価を行えば, ゼリー/ヨーグルトに続く段階の食品として凍結含浸食品を導入可能であると考えた.
ISSN:0030-6622
1883-0854
DOI:10.3950/jibiinkoka.113.110