小児後天性真珠腫の臨床的検討

目的: 小児の後天性真珠腫に関して臨床的な検討を行った.  対象と方法: 2001年4月~2012年3月の12年間で, 当科で初回治療を行った15歳以下の後天性真珠腫36例36耳について主訴, 中耳真珠腫進展度分類2010年改訂案を使用した進展度, 術式, 再発の有無, 段階手術時の遺残の有無について検討を行った. さらに術後聴力成績判定基準2010年版を用いて聴力改善率を検討した.  結果: 主訴 (重複あり) は耳漏が33耳 (92%), 難聴が32耳 (89%) と多くを占めた. 基本分類は, 弛緩部型が29耳 (81%), 緊張部型が7耳 (19%) であり, 両型ともに Stage...

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Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 119; no. 3; pp. 181 - 186
Main Authors 平位, 知久, 三好, 綾子, 福島, 典之, 宮原, 伸之, 有木, 雅彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会 20.03.2016
日本耳鼻咽喉科学会
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ISSN0030-6622
1883-0854
DOI10.3950/jibiinkoka.119.181

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Summary:目的: 小児の後天性真珠腫に関して臨床的な検討を行った.  対象と方法: 2001年4月~2012年3月の12年間で, 当科で初回治療を行った15歳以下の後天性真珠腫36例36耳について主訴, 中耳真珠腫進展度分類2010年改訂案を使用した進展度, 術式, 再発の有無, 段階手術時の遺残の有無について検討を行った. さらに術後聴力成績判定基準2010年版を用いて聴力改善率を検討した.  結果: 主訴 (重複あり) は耳漏が33耳 (92%), 難聴が32耳 (89%) と多くを占めた. 基本分類は, 弛緩部型が29耳 (81%), 緊張部型が7耳 (19%) であり, 両型ともに Stage II が最多であった. Stage I 症例に対しては一期的手術を行い, Stage II 以上の症例に対しては段階手術を行った. 聴力改善は弛緩部型が29耳中21耳 (72%), 緊張部型が7耳中4耳 (57%) であり, 両型とも Stage の進行とともに聴力改善率は低下していた. 再発は弛緩部型が29耳中5耳 (17%), 緊張部型が7耳中2耳 (29%) であった. 段階手術を行った28耳のうち, 真珠腫の遺残を認めた症例は, 弛緩部型が24耳中11耳 (46%), 緊張部型が4耳中2耳 (50%) であった.  考察: 小児では初回手術時に既に広範囲に進展していることが少なくなく, 1回の手術のみでは遺残することが多い. そのため, 積極的に段階手術を行うことが望ましいと考えられた.
ISSN:0030-6622
1883-0854
DOI:10.3950/jibiinkoka.119.181