視覚障害を契機に副腎白質ジストロフィーと診断された1例

視覚障害を契機に副腎白質ジストロフィー(adrenoleukodystrophy:ALD)と診断された症例を経験したので報告する.症例は発達障害と進行性の知的障害のある10歳,男児.3週間前からの視力低下,歩行障害を主訴に近医より当科紹介受診となった.視力は右眼0.08,左眼0.04,眼位は両眼とも外転位であった.頭部MRI検査のT2強調およびFLAIR画像において深部白質に左右対称性の高信号域,血中極長鎖脂肪酸の増加,ABCD1遺伝子に変異がみられたことから,小児大脳型ALDと診断した.診断から4か月後に臍帯血移植を行い移植は成功したが,13歳で死亡した.発達障害の既往により初期の臨床症状が...

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Published in神経眼科 Vol. 37; no. 2; pp. 165 - 170
Main Authors 春石, 和子, 赤池, 洋人, 後藤, 克聡, 荒木, 俊介, 松田, 純子, 三木, 淳司, 尾内, 一信, 桐生, 純一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経眼科学会 25.06.2020
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ISSN0289-7024
2188-2002
DOI10.11476/shinkeiganka.37.165

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Summary:視覚障害を契機に副腎白質ジストロフィー(adrenoleukodystrophy:ALD)と診断された症例を経験したので報告する.症例は発達障害と進行性の知的障害のある10歳,男児.3週間前からの視力低下,歩行障害を主訴に近医より当科紹介受診となった.視力は右眼0.08,左眼0.04,眼位は両眼とも外転位であった.頭部MRI検査のT2強調およびFLAIR画像において深部白質に左右対称性の高信号域,血中極長鎖脂肪酸の増加,ABCD1遺伝子に変異がみられたことから,小児大脳型ALDと診断した.診断から4か月後に臍帯血移植を行い移植は成功したが,13歳で死亡した.発達障害の既往により初期の臨床症状が見過ごされたため,診断・治療まで時間を要した症例であった.視力障害に歩行障害,進行性の知的障害を合併した男児を診察した際はALDを念頭に置き,早期にMRIを行い早期診断・治療に繋げることが重要である.
ISSN:0289-7024
2188-2002
DOI:10.11476/shinkeiganka.37.165