視交叉・視索病変のOCT

光干渉断層計(optical coherence tomography:OCT)は,視神経・視路疾患においても,乳頭周囲網膜神経線維層厚(circumpapillary retinal nerve fiber layer:cpRNFL)や黄斑部網膜内層厚を測定し,他覚的に定量的な評価に用いられている.鼻側半網膜の神経線維が,視交叉後方で交叉し,反対側の視索に入る.一方で,耳側半網膜からの神経線維は,視交叉で交叉せずに同側の視索へ入る.視交叉の病変では,典型的には両眼の乳頭黄斑線維束と鼻側神経線維すなわち交叉線維が障害されるため,両耳側半盲を呈することが多い.一側の視索は同側の耳側半網膜から投影...

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Published in神経眼科 Vol. 40; no. 4; pp. 320 - 327
Main Authors 宇田川, さち子, 大久保, 真司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経眼科学会 25.12.2023
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ISSN0289-7024
2188-2002
DOI10.11476/shinkeiganka.40.320

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Summary:光干渉断層計(optical coherence tomography:OCT)は,視神経・視路疾患においても,乳頭周囲網膜神経線維層厚(circumpapillary retinal nerve fiber layer:cpRNFL)や黄斑部網膜内層厚を測定し,他覚的に定量的な評価に用いられている.鼻側半網膜の神経線維が,視交叉後方で交叉し,反対側の視索に入る.一方で,耳側半網膜からの神経線維は,視交叉で交叉せずに同側の視索へ入る.視交叉の病変では,典型的には両眼の乳頭黄斑線維束と鼻側神経線維すなわち交叉線維が障害されるため,両耳側半盲を呈することが多い.一側の視索は同側の耳側半網膜から投影される非交叉神経線維と反対側の鼻側網膜からの交叉性神経線維からなるため,障害側とは反対側の同名半盲を呈する.OCTによって,視交叉・視索疾患の構造を詳細に評価することで,経過観察や視野の回復予測など,今後のさらなる活用が期待される.
ISSN:0289-7024
2188-2002
DOI:10.11476/shinkeiganka.40.320