炭酸ガスアーク溶接ヒュームの上昇速度の測定

『はじめに』 炭酸ガスアーク溶接では, 高温のアークが熱源となって生じる上昇気流に乗じて大量の金属粉じん(溶接ヒューム)が発生・拡散し, 溶接作業者に高濃度の粉じんばく露をもたらす. しかし, 溶接では作業の進行に伴いアーク点(ヒューム等の発生源)が常に移動するため, 多くの現場では有効な工学的対策の導入が技術的に難しく, ばく露対策は防じんマスク等の呼吸用保護具に頼らざるを得ないのが実状と思われる. 近年, 新規じん肺有所見者数に占める溶接作業従事者の比率が漸増し, 厚生労働省が策定する第7次粉じん障害防止総合対策(平成20-24年)における重点事項に, 引き続き「アーク溶接作業に係る粉じん...

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Published in産業衛生学雑誌 Vol. 52; no. 6; pp. 285 - 287
Main Author 小嶋, 純
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本産業衛生学会 2010
日本産業衛生学会
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ISSN1341-0725
1349-533X
DOI10.1539/sangyoeisei.B9015

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Summary:『はじめに』 炭酸ガスアーク溶接では, 高温のアークが熱源となって生じる上昇気流に乗じて大量の金属粉じん(溶接ヒューム)が発生・拡散し, 溶接作業者に高濃度の粉じんばく露をもたらす. しかし, 溶接では作業の進行に伴いアーク点(ヒューム等の発生源)が常に移動するため, 多くの現場では有効な工学的対策の導入が技術的に難しく, ばく露対策は防じんマスク等の呼吸用保護具に頼らざるを得ないのが実状と思われる. 近年, 新規じん肺有所見者数に占める溶接作業従事者の比率が漸増し, 厚生労働省が策定する第7次粉じん障害防止総合対策(平成20-24年)における重点事項に, 引き続き「アーク溶接作業に係る粉じん障害防止対策」が加えられているのも, 我が国の溶接作業場における粉じん対策がなお一層の進展を要している現実を反映したものであろう. このような状況に対して, 平成19年に独立行政法人労働安全衛生総合研究所がまとめた報告書「粉じん障害防止対策の課題と方向性について」1)では, アーク溶接時の有効な粉じん対策法として, 比較的広い換気区域を有し, 移動作業にも適用可能なプッシュプル型換気装置(以下, PP装置)の利用を提言している.
ISSN:1341-0725
1349-533X
DOI:10.1539/sangyoeisei.B9015