喫煙習慣の違いによる肺年齢の検討
目的:喫煙習慣の違いによる肺年齢の変化について調査し,肺年齢の有用性を検討する. 方法:2015年1月~12月の1年間に大宮シティクリニックの人間ドックを受診した33,052名のうち男性18,975名を対象とした.喫煙歴によって喫煙群,禁煙群,非喫煙群の3群に分け,年齢,肺機能検査結果,胸部レントゲン所見について調査した.日本呼吸器学会が定義している計算式を用いて肺年齢を算出し,肺年齢-実年齢を肺年齢差として比較検討した.そのうち20年間継続受診者については肺年齢差の経年変化についても検討した. 結果:肺年齢は喫煙群61.5歳(±17.4),禁煙群61.7歳(±14.7),非喫煙群56.2歳(...
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Published in | 人間ドック Vol. 32; no. 3; pp. 463 - 468 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本人間ドック学会
2017
日本人間ドック学会 |
Subjects | |
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ISSN | 1880-1021 2186-5027 |
DOI | 10.11320/ningendock.32.463 |
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Summary: | 目的:喫煙習慣の違いによる肺年齢の変化について調査し,肺年齢の有用性を検討する. 方法:2015年1月~12月の1年間に大宮シティクリニックの人間ドックを受診した33,052名のうち男性18,975名を対象とした.喫煙歴によって喫煙群,禁煙群,非喫煙群の3群に分け,年齢,肺機能検査結果,胸部レントゲン所見について調査した.日本呼吸器学会が定義している計算式を用いて肺年齢を算出し,肺年齢-実年齢を肺年齢差として比較検討した.そのうち20年間継続受診者については肺年齢差の経年変化についても検討した. 結果:肺年齢は喫煙群61.5歳(±17.4),禁煙群61.7歳(±14.7),非喫煙群56.2歳(±14.9),肺年齢差は喫煙群+12.7歳(±14.6),禁煙群+8.9歳(±11.1),非喫煙群+8.2歳(±12.1)となり,喫煙群で有意に大きくなった.また,喫煙群では胸部レントゲン検査にて気腫性病変を認めた割合が4.4%であり,他の2群に比べ有意に大きくなった.禁煙群の肺年齢差は禁煙してからの期間が長くなるにつれて小さくなる傾向にあった.20年データを追跡し得た受診者の肺年齢差は20年前では3群間で有意差がなかったが,現在では喫煙群で肺年齢が高く,肺年齢差が有意に大きくなった.禁煙群と非喫煙群では有意差は認めなかった. 結論:肺年齢差は喫煙によって上がり,禁煙によって下げることができる,喫煙習慣とよく相関する指標である.肺年齢の変化は早期の禁煙の効果をよく反映し,受診者にとってより身近であることからCOPDの早期発見と予防に有効な手段となる. |
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ISSN: | 1880-1021 2186-5027 |
DOI: | 10.11320/ningendock.32.463 |