コロナ禍にて行ったがん患者の在宅看取り

がん患者が Best Supportive Care(BSC)のために入院すると,経過中に状態が悪化して死亡に至る症例をしばしば経験する。コロナ禍となって病院事情は一変し,外出,外泊は制限され,原則面会禁止のため入院中の患者の生活の質(Quality of Life:QOL)は著しく低下した。 そこで当科では,がん終末期患者の身体的苦痛が軽減したとき,多職種で相談し,自宅療養にむけた退院,その後の在宅死の可否を検討した。2021年 6 月から約 1 年半の間に自宅で看取ったがん患者 10 例を検討した。男性 7 例,女性 3 例,年齢 68~88 歳,原疾患は胃癌 2 例,大腸癌 3 例,胆管...

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Published inJAPANESE JOURNAL OF HOSPITAL GENERAL MEDICINE Vol. 19; no. 4; pp. 295 - 300
Main Authors 佐藤, 明史, 田畑, 智章, 車, 圭太, 加藤, 伸史, 文永, 徽, 柿崎, 裕太, 佐井, 康真, 齊藤, 研, 藤嶋, 悟志, 榎本, 好恭, 佐藤, 優
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本病院総合診療医学会 31.07.2023
JAPAN SOCIETY OF HOSPITAL GENERAL MEDICINE
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ISSN2185-8136
2758-7878
DOI10.60227/jhgmwabun.19.4_295

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Summary:がん患者が Best Supportive Care(BSC)のために入院すると,経過中に状態が悪化して死亡に至る症例をしばしば経験する。コロナ禍となって病院事情は一変し,外出,外泊は制限され,原則面会禁止のため入院中の患者の生活の質(Quality of Life:QOL)は著しく低下した。 そこで当科では,がん終末期患者の身体的苦痛が軽減したとき,多職種で相談し,自宅療養にむけた退院,その後の在宅死の可否を検討した。2021年 6 月から約 1 年半の間に自宅で看取ったがん患者 10 例を検討した。男性 7 例,女性 3 例,年齢 68~88 歳,原疾患は胃癌 2 例,大腸癌 3 例,胆管癌 3 例,肺癌 1 例,胸腺癌 1 例だった。最終退院から在宅死までの期間は 3~332 日,3 例に対して中心静脈ポート(central venous port:CV ポート)を使用して 持続点滴を行った。在宅死した10 例はすべて婚姻歴があり,主介護者は,男性患者の場合は妻または子供,女性患者の場合は子供であった。BSC を適切に行い,患者の苦痛を軽減し介護者の負担を軽減できれば,在宅で十分な緩和医療を継続して在宅死を実現できる可能性が示唆された。
ISSN:2185-8136
2758-7878
DOI:10.60227/jhgmwabun.19.4_295