ヒスタミンH1受容体遺伝子発現機構のアレルギー疾患における病理学的意義

「1. はじめに」アレルギー疾患は様々な遺伝子の発現異常を伴う難治性多因子疾患である. これらの遺伝子はその発現状態がアレルギー症状の重篤性に大きく係わるためアレルギー疾患感受性遺伝子と呼ばれる. アレルギー疾患感受性遺伝子の発現異常を是正する薬物はこれまでにない新規な作用基盤を持つ抗アレルギー薬として有望であると考えられる. アレルギー疾患において, FcεRIやCD-40, HMCクラスIIなどいくつかの遺伝子が疾患感受性候補遺伝子として提案されているが, その証明は進んでいないのが現状である. ヒスタミンは即時型アレルギー反応における主要なケミカルメディエーターであり, その作用は主とし...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inYAKUGAKU ZASSHI Vol. 131; no. 2; pp. 171 - 178
Main Authors 服部, 将史, 宮本, 裕子, 北村, 嘉章, 福井, 裕行, 水口, 博之, 黒田, 若菜, 吉田, 陽香, 武田, 憲昭, 近藤, 勇人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本薬学会 01.02.2011
日本薬学会
Online AccessGet full text
ISSN0031-6903
1347-5231
DOI10.1248/yakushi.131.171

Cover

More Information
Summary:「1. はじめに」アレルギー疾患は様々な遺伝子の発現異常を伴う難治性多因子疾患である. これらの遺伝子はその発現状態がアレルギー症状の重篤性に大きく係わるためアレルギー疾患感受性遺伝子と呼ばれる. アレルギー疾患感受性遺伝子の発現異常を是正する薬物はこれまでにない新規な作用基盤を持つ抗アレルギー薬として有望であると考えられる. アレルギー疾患において, FcεRIやCD-40, HMCクラスIIなどいくつかの遺伝子が疾患感受性候補遺伝子として提案されているが, その証明は進んでいないのが現状である. ヒスタミンは即時型アレルギー反応における主要なケミカルメディエーターであり, その作用は主としてGタンパク共役型受容体(GPCR)であるヒスタミンH1受容体(H1R)を介して起こる. 一般に, GPCRはアゴニストの反復投与によりダウンレギュレーションを受け, 受容体数が減少することが知られている. これは, 細胞内に必要以上の過剰なシグナルを入れないという生体にとって合目的的な防御機構であると考えられる.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.131.171