推算糸球体濾過量の算出には小数点以下2桁の血清クレアチニン値が重要

目的:推算糸球濾過量 (eGFR)による慢性腎臓病(CKD)のステージ分類には,酵素法による少数点以下2桁の血清クレアチニン値(Cr2)が重要であることを明らかにする. 方法:当センターが平成21年1月13日~同4月13日に酵素法で測定した1,102例(男性699例,女性403例)のCr2と四捨五入後の少数点以下1桁値(Cr1)を検討に用いた.eGFRは2008年日本腎臓学会発表の推算式(男性:194×Cr1.094×年齢-0.287,女性:194×Cr1.094×年齢-0.287×0.739)に年齢とCr2またはCr1を代入して,演算の結果をeGFR(Cr2)またはeGFR(Cr1)とした....

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Published in人間ドック Vol. 25; no. 3; pp. 556 - 563
Main Authors 小田辺, なお子, 島垣, 二佳子, 松永, 由希恵, 若林, 真理子, 品田, 章二, 斉藤, 功英, 片岡, 正春
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本人間ドック学会 2010
日本人間ドック学会
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Summary:目的:推算糸球濾過量 (eGFR)による慢性腎臓病(CKD)のステージ分類には,酵素法による少数点以下2桁の血清クレアチニン値(Cr2)が重要であることを明らかにする. 方法:当センターが平成21年1月13日~同4月13日に酵素法で測定した1,102例(男性699例,女性403例)のCr2と四捨五入後の少数点以下1桁値(Cr1)を検討に用いた.eGFRは2008年日本腎臓学会発表の推算式(男性:194×Cr1.094×年齢-0.287,女性:194×Cr1.094×年齢-0.287×0.739)に年齢とCr2またはCr1を代入して,演算の結果をeGFR(Cr2)またはeGFR(Cr1)とした.CKDのeGFRによるステージ分類も日本腎臓学会の定義に従った. 成績:(1)男女ともステージ4(eGFR値15~29)とステージ5(eGFR値15未満)は0例であった.(2)eGFR(Cr2)は小数点以下2桁の数字が1~4ならeGFR(Cr1)より低値,5~9ならeGFR(Cr1)より高値であった.(3)各ステージの例数をeGFR(Cr2)/eGFR(Cr1)で示すと,男性のステージ3(eGFR値30~59)は28例/30例,ステージ2(eGFR値60~89)は427例/442例,ステージ1(eGFR値90以上)は244例/227例,女性のステージ3は9例/12例,ステージ2は207例/202例,ステージ1は187例/189例であり,男女いずれもeGFR(Cr2)によるステージ分類とeGFR(Cr1)によるステージ分類は乖離した.(4)Cr1 1.0mg/dLの男性50例中11例はeGFR(Cr2)が60未満,0.7mg/dLの女性51例中60未満は0例であり,健診の基準値(Cr1)単独ではステージ分類ができなかった. 結論:eGFR(Cr1)は信頼性に欠けるので,Cr2とそれに基づくeGFR(Cr2)は健常者または中等度の腎機能低下者を対象とする健診機関の報告書に重要である.
ISSN:1880-1021
2186-5027
DOI:10.11320/ningendock.25.556