C型慢性肝炎における代謝異常と肝発癌

C型肝炎ウイルス(Hepatitis C virus:HCV) 感染は肝臓の慢性炎症を引き起こし,肝細胞機能の変化を誘導することで線維化進展や肝癌発生に直接的に寄与している。一方で,HCVにより脂質代謝,糖代謝などの代謝異常が惹起され,これがC型慢性肝炎の病態の根幹に関わっ ていることも明らかになりつつある。HCVの抗ウイルス療法は直接作用型抗ウイルス剤(Direct-acting antivirals:DAA)の登場以降,格段に進歩した。HCV排除に伴い代謝異常の改善も期待できるが,どの程度肝線維化あるいは肝癌を抑止できるか,その実態は今後明らかに する必要がある。本稿では, 我々の研究成果...

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Published inJAPANESE JOURNAL OF HOSPITAL GENERAL MEDICINE Vol. 19; no. 5; pp. 374 - 379
Main Authors 高, 山 耕 治, 村, 田 昌之, 豊, 田 一 弘, 小, 川 栄 一, 下, 野 信 行
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本病院総合診療医学会 30.09.2023
JAPAN SOCIETY OF HOSPITAL GENERAL MEDICINE
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ISSN2185-8136
2758-7878
DOI10.60227/jhgmwabun.19.5_374

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Summary:C型肝炎ウイルス(Hepatitis C virus:HCV) 感染は肝臓の慢性炎症を引き起こし,肝細胞機能の変化を誘導することで線維化進展や肝癌発生に直接的に寄与している。一方で,HCVにより脂質代謝,糖代謝などの代謝異常が惹起され,これがC型慢性肝炎の病態の根幹に関わっ ていることも明らかになりつつある。HCVの抗ウイルス療法は直接作用型抗ウイルス剤(Direct-acting antivirals:DAA)の登場以降,格段に進歩した。HCV排除に伴い代謝異常の改善も期待できるが,どの程度肝線維化あるいは肝癌を抑止できるか,その実態は今後明らかに する必要がある。本稿では, 我々の研究成果である,非肝硬変例におけるインスリン抵抗性と肝発癌,および DAA治療後の肝脂肪化と肝発癌を中心に概説する。
ISSN:2185-8136
2758-7878
DOI:10.60227/jhgmwabun.19.5_374