胆摘後に発生した遺残胆嚢管癌の1例

要旨: 胆嚢摘出後に発生した遺残胆嚢管癌の1例を経験したので報告する.症例は66歳の女性で糖尿病と慢性C型肝炎のフォロー中に腹部US検査にて総胆管結石と診断され精査目的にて入院となった.既往に32歳時に胆石症にて胆嚢摘出術を受けていた.入院後実施したERCPにて総胆管結石は認めず,遺残胆嚢管のわずかな描出とそのやや肝門側で上部胆管に片側性の壁外性圧迫を疑わせる陰影欠損像を認めた.同部位から実施した組織生検にて腺癌と診断された.腹部血管造影検査では右肝動脈より分岐する胆嚢動脈を認め,その末梢に腫瘍濃染像を認めた.以上より遺残胆嚢管癌と診断し,胆管切除術およびD2リンパ節郭清術を実施した.切除標本...

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Published in胆道 Vol. 23; no. 5; pp. 783 - 788
Main Authors 竹島, 薫, 山藤, 和夫, 辻, 忠男, 篠崎, 博志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胆道学会 2009
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Summary:要旨: 胆嚢摘出後に発生した遺残胆嚢管癌の1例を経験したので報告する.症例は66歳の女性で糖尿病と慢性C型肝炎のフォロー中に腹部US検査にて総胆管結石と診断され精査目的にて入院となった.既往に32歳時に胆石症にて胆嚢摘出術を受けていた.入院後実施したERCPにて総胆管結石は認めず,遺残胆嚢管のわずかな描出とそのやや肝門側で上部胆管に片側性の壁外性圧迫を疑わせる陰影欠損像を認めた.同部位から実施した組織生検にて腺癌と診断された.腹部血管造影検査では右肝動脈より分岐する胆嚢動脈を認め,その末梢に腫瘍濃染像を認めた.以上より遺残胆嚢管癌と診断し,胆管切除術およびD2リンパ節郭清術を実施した.切除標本にて癌腫は胆嚢管内腔より発生しており切除胆管への壁外からの浸潤を認め組織学的には中分化型管状腺癌であった.遺残胆嚢管癌と最終診断した.術後7カ月現在無再発生存中である.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando.23.783