心臓カテーテル検査前の心臓 computed tomography 検査の有用性

近年の心臓computed tomography (CT) 検査は,冠動脈狭窄のみならず,壁運動障害も観察可能である。本症例は心臓CT画像を参考にし,左冠動脈前下行枝びまん性高度狭窄の治療に成功した症例である。我々は,この症例から心臓CT画像の4つの有用性について再検討したので報告する。 ①心臓CT画像は,びまん性高度狭窄治療のガイドワイヤー操作に有用であった。②心臓CT検査は,左冠動脈前下行枝の閉塞部位に一致して左室前壁に壁運動障害を示した。③同部位の壁厚は保たれ,心内膜下の造影不良を認めた。④左冠動脈前下行枝内腔のCT値は,閉塞部位の近位側で低値を示したが,側副血行路のため末梢でのCT値が...

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Published in聖マリアンナ医科大学雑誌 Vol. 43; no. 3; pp. 193 - 198
Main Authors 小林, 泰之, 米山, 喜平, 西尾, 智, 南, 圭祐, 水野, 幸一, 平野, 智之, 宮崎, 秀和, 滝村, 由香子, 明石, 嘉浩
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 学校法人 聖マリアンナ医科大学医学会 2015
聖マリアンナ医科大学医学会
St. Marianna University Society of Medical Science
Subjects
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ISSN0387-2289
2189-0285
DOI10.14963/stmari.43.193

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Summary:近年の心臓computed tomography (CT) 検査は,冠動脈狭窄のみならず,壁運動障害も観察可能である。本症例は心臓CT画像を参考にし,左冠動脈前下行枝びまん性高度狭窄の治療に成功した症例である。我々は,この症例から心臓CT画像の4つの有用性について再検討したので報告する。 ①心臓CT画像は,びまん性高度狭窄治療のガイドワイヤー操作に有用であった。②心臓CT検査は,左冠動脈前下行枝の閉塞部位に一致して左室前壁に壁運動障害を示した。③同部位の壁厚は保たれ,心内膜下の造影不良を認めた。④左冠動脈前下行枝内腔のCT値は,閉塞部位の近位側で低値を示したが,側副血行路のため末梢でのCT値が上昇していた。 経皮的冠動脈形成術前に心臓CT検査を用いることは,術中のガイドワイヤー操作のみならず,壁運動や心筋の造影効果を介して患者病態の把握に有用と考えた。また,臨床医がこれらを使用する場合には,放射線科医師,診療放射線技師,循環器内科医師の連携や,有効なCT読影レポートが必要であると考えた。
ISSN:0387-2289
2189-0285
DOI:10.14963/stmari.43.193