鼻出血を繰り返す上顎洞血瘤腫に対し,N-butyl Cyanoacrylateを用いた塞栓術を施行した1例

【目的】血瘤腫は,上顎洞に好発する易出血性の良性腫瘤性病変である.手術摘出が原則であり,術前塞栓の報告はあるが,血管塞栓術単独治療の報告はない.手術リスクの高い高齢患者に対して,塞栓術単独治療を行い,良好な止血効果と腫瘤の縮小を得た1例を報告する.【症例】87歳男性.輸血を要する重度の鼻出血を繰り返した左上顎洞血瘤腫に対して,栄養血管である蝶口蓋動脈をn-butyl cyanoacrylateで塞栓した.術後4カ月の観察期間中,鼻出血は停止し,CTで腫瘤の縮小を認めた.【結論】鼻出血が主症状で,手術リスクが高い血瘤腫に対して,姑息的ではあるものの,塞栓術単独治療は選択肢の一つとなり得る....

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Published in脳血管内治療 Vol. 7; no. 3; pp. 137 - 143
Main Authors 清川, 樹里, 廣田, 晋, 長, 順之, 山本, 信二, 稲葉, 雄一郎, 芳村, 雅隆, 伊藤, 慧, 林, 俊彦, 金岡, 杏純
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本脳神経血管内治療学会 2022
日本脳神経血管内治療学会
Subjects
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ISSN2423-9119
2424-1709
DOI10.20626/nkc.cr.2022-0025

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Summary:【目的】血瘤腫は,上顎洞に好発する易出血性の良性腫瘤性病変である.手術摘出が原則であり,術前塞栓の報告はあるが,血管塞栓術単独治療の報告はない.手術リスクの高い高齢患者に対して,塞栓術単独治療を行い,良好な止血効果と腫瘤の縮小を得た1例を報告する.【症例】87歳男性.輸血を要する重度の鼻出血を繰り返した左上顎洞血瘤腫に対して,栄養血管である蝶口蓋動脈をn-butyl cyanoacrylateで塞栓した.術後4カ月の観察期間中,鼻出血は停止し,CTで腫瘤の縮小を認めた.【結論】鼻出血が主症状で,手術リスクが高い血瘤腫に対して,姑息的ではあるものの,塞栓術単独治療は選択肢の一つとなり得る.
ISSN:2423-9119
2424-1709
DOI:10.20626/nkc.cr.2022-0025