硬性気管支鏡下に切除した肝癌気管腔内転移の1例

背景.悪性腫瘍の気管•気管支腔内転移は比較的稀であり,中枢気道を閉塞する肝癌の気管腔内転移は非常に稀である.症例.症例は75歳,女性.肝癌術後3年後に転移性肺腫瘍のため右肺下葉切除術を施行した.その後2年間無再発であったが,経過観察中に血痰が出現し,当科紹介となった.胸部CTで気管分岐部直上に腫瘍を認め,臨床経過より肝癌気管腔内転移が疑われた.診断•治療目的に硬性気管支鏡下に腫瘍を可及的に切除し,気道狭窄を解除した.病理診断は肝癌気管腔内転移であった.現在外来において経過観察中である.結論.肝癌気管腔内転移に対し,硬性気管支鏡下に腫瘍を切除し得た1例を経験した.本症例のように気道狭窄をきたす気...

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Published in気管支学 Vol. 39; no. 2; pp. 146 - 149
Main Authors 竹ヶ原, 京志郎, 佐藤, 明, 揖斐, 孝之, 井上, 達哉, 臼田, 実男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2017
日本呼吸器内視鏡学会
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Summary:背景.悪性腫瘍の気管•気管支腔内転移は比較的稀であり,中枢気道を閉塞する肝癌の気管腔内転移は非常に稀である.症例.症例は75歳,女性.肝癌術後3年後に転移性肺腫瘍のため右肺下葉切除術を施行した.その後2年間無再発であったが,経過観察中に血痰が出現し,当科紹介となった.胸部CTで気管分岐部直上に腫瘍を認め,臨床経過より肝癌気管腔内転移が疑われた.診断•治療目的に硬性気管支鏡下に腫瘍を可及的に切除し,気道狭窄を解除した.病理診断は肝癌気管腔内転移であった.現在外来において経過観察中である.結論.肝癌気管腔内転移に対し,硬性気管支鏡下に腫瘍を切除し得た1例を経験した.本症例のように気道狭窄をきたす気管腫瘍に対して,硬性気管支鏡を用いた処置は気道の確実な確保,出血への対応が可能であり安全な手技と考える.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.39.2_146