臍ヘルニアに対するスポンジ圧迫療法の検討

【目的】近年スポンジ圧迫療法の有用性が報告されているが,詳細な検討はなされていない.そこで,後方視的に有効性を検討した.【方法】2004年1月1日から2016年12月31日までに当科で臍ヘルニアと診断され,圧迫療法施行後,追跡が可能だった症例を対象とした.これらの症例を閉鎖群と非閉鎖群の2群に分け,比較検討した.検討指標は,性別,ヘルニアの形態,在胎週数,出生体重,圧迫療法開始日齢,臍ヘルニア最大径,ヘルニア門最大径,ヘルニア門閉鎖日齢,圧迫療法期間である.統計解析ソフトはJMP® Pro 13.0.0を使用し,P<0.05を有意差ありとした.【結果】臍ヘルニアの診断を受けた1,866例中,圧...

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Published in日本小児外科学会雑誌 Vol. 54; no. 2; pp. 242 - 247
Main Authors 中山, 智理, 千葉, 正博, 杉山, 彰英, 土岐, 彰, 入江, 理絵, 大澤, 俊亮, 中神, 智和, 渡井, 有
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本小児外科学会 20.04.2018
日本小児外科学会
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ISSN0288-609X
2187-4247
DOI10.11164/jjsps.54.2_242

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Summary:【目的】近年スポンジ圧迫療法の有用性が報告されているが,詳細な検討はなされていない.そこで,後方視的に有効性を検討した.【方法】2004年1月1日から2016年12月31日までに当科で臍ヘルニアと診断され,圧迫療法施行後,追跡が可能だった症例を対象とした.これらの症例を閉鎖群と非閉鎖群の2群に分け,比較検討した.検討指標は,性別,ヘルニアの形態,在胎週数,出生体重,圧迫療法開始日齢,臍ヘルニア最大径,ヘルニア門最大径,ヘルニア門閉鎖日齢,圧迫療法期間である.統計解析ソフトはJMP® Pro 13.0.0を使用し,P<0.05を有意差ありとした.【結果】臍ヘルニアの診断を受けた1,866例中,圧迫療法施行後,追跡可能だった症例は1,286例であった.閉鎖群は1,134例(88.2%),非閉鎖群は152例(11.8%)であった.全指標中,ヘルニアの形態,在胎週数,出生体重,圧迫療法開始日齢,圧迫療法期間,ヘルニア門閉鎖日齢に有意差を認めた.また,圧迫期間,閉鎖日齢のカットオフ値はそれぞれ144日間,321日であった.【結論】在胎週数が小さいほどヘルニア門が閉鎖しやすい.出生体重が小さいほどヘルニア門が閉鎖しやすい.臍上部型は臍部型よりヘルニア門の閉鎖率が低い.圧迫療法を行う場合,年齢が11か月を過ぎるとヘルニア門の閉鎖率が低下する.圧迫療法期間が4.8か月を超えるとヘルニア門の閉鎖率が低下する.
ISSN:0288-609X
2187-4247
DOI:10.11164/jjsps.54.2_242