全大腸炎型潰瘍性大腸炎に早期直腸癌と遠位胆管癌を合併した若年成人の1例

症例は38歳男性.祖父に胃癌,叔父に胃癌と食道癌を認めた.全身倦怠感,食欲低下,皮膚黄染を主訴に前医に入院した.ERCPで遠位胆管に全周性狭窄を認め,精査目的に当院へ転院となった.胆管狭窄に関しては複数回の生検でも悪性所見を得られず,一方,下部消化管内視鏡検査で全大腸炎型潰瘍性大腸炎を認め,直腸Rbの0-Is病変からの生検の結果はGroup5(tub2)であった.大腸の治療を優先する方針となり,腹腔鏡補助下大腸全摘術(直腸切断型),回腸人工肛門造設術を施行した.術後,胆管生検を再度行ったところ腺癌が強く疑われ,膵頭十二指腸切除術を施行した.本邦では潰瘍性大腸炎へのPSCの合併や,PSCへの胆管...

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Published inTando Vol. 32; no. 5; pp. 908 - 917
Main Authors 菅原, 秀一郎, 木村, 理, 加藤, 智也, 渡邊, 利広, 平井, 一郎, 野津, 新太郎, 手塚, 康二, 髙橋, 良輔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胆道学会 31.12.2018
Japan Biliary Association
Subjects
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ISSN0914-0077
1883-6879
DOI10.11210/tando.32.908

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Summary:症例は38歳男性.祖父に胃癌,叔父に胃癌と食道癌を認めた.全身倦怠感,食欲低下,皮膚黄染を主訴に前医に入院した.ERCPで遠位胆管に全周性狭窄を認め,精査目的に当院へ転院となった.胆管狭窄に関しては複数回の生検でも悪性所見を得られず,一方,下部消化管内視鏡検査で全大腸炎型潰瘍性大腸炎を認め,直腸Rbの0-Is病変からの生検の結果はGroup5(tub2)であった.大腸の治療を優先する方針となり,腹腔鏡補助下大腸全摘術(直腸切断型),回腸人工肛門造設術を施行した.術後,胆管生検を再度行ったところ腺癌が強く疑われ,膵頭十二指腸切除術を施行した.本邦では潰瘍性大腸炎へのPSCの合併や,PSCへの胆管癌の合併はそれぞれ数%ずつ報告されている.PSCを合併していない潰瘍性大腸炎の症例で,大腸癌と胆管癌を合併した若年成人例の報告は認められず,自験例は極めて稀であり,文献的考察を含め報告する.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando.32.908